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【管理栄養士監修】中高生の時期に大事にしたい!脳と体を育む“炭水化物”の働きと重要性

【管理栄養士監修】中高生の時期に大事にしたい!脳と体を育む“炭水化物”の働きと重要性

ごはんやパン、麺など主食となる炭水化物は、私たちの生命活動の基礎となる大切なエネルギー源です。特に体や心が大きく変化する成長期には、きちんと食べて元気な体づくりをしていきたいもの。
そこで、今回は炭水化物の働きと、目的別に上手に摂るためのポイントをご紹介します。

「炭水化物」は中高生に大切な脳と体のエネルギー源!

炭水化物は、脂質、たんぱく質とともに3大栄養素のひとつで、ヒトの消化酵素で消化できる「糖質」と、消化しにくい「食物繊維」に分けられます。糖質は、体の中で分解されてブドウ糖に変わり、心臓や肺などの臓器や脳を働かせる大切なエネルギー源となります。

脳のエネルギーになるのは唯一ブドウ糖だけ。勉強や運動を頑張りたい中高生は、しっかり炭水化物を摂って元気な体づくりをしていきましょう。
そんな炭水化物は、体内にわずかしか蓄えておけないので、毎食きちんと食べることが大切です。

<中高生はどのくらいの炭水化物を摂ったらいいの?>

糖質に分類される炭水化物は1日の推定エネルギー必要量のうち、男女ともに50~65%摂るのが望ましいとされています。例えば、15~17歳の男子で身体活動レベルが「普通」では、1日2,800kcalのエネルギーが必要とされます。そのうちの50~65%(1,400~1,820kcal)を炭水化物で摂ると、ごはん(150g=252kcal)でいえばおよそ5杯~7杯分に相当します。

一方、食物繊維は糖質と異なりほとんどエネルギー源にはなりませんが、水分を吸収して排泄を促し、腸内環境を整える大切な役割をしています。
食物繊維は、女性で18g以上、男性で21g以上が1日に摂取したい目標量(18歳~64歳の場合)とされており、食物繊維を多く含む野菜の例として、グリーンピース(生)7.7g、ごぼう(生)5.7g、ブロッコリー(生)4.3gなどが挙げられます。※いずれも、100g当たりの含有量(注1)

「炭水化物」の不足や過剰摂取による体への影響とは?

食事内容の偏りやダイエットによる炭水化物不足は、体に必要なエネルギーが不足することから、だるさや集中力・やる気の低下などの原因になります。特に女子は、中高生の時期にやせ願望が強くなり、無理なダイエットからホルモンバランスを崩したり、低体温を招いたりすることがあります。
この頃は心や体の成長にとって、とても大切な時期。食生活をおろそかにしないことが非常に大切です。もちろん、炭水化物を摂り過ぎると糖質が余り、体脂肪として蓄えられて肥満の原因につながるため注意が必要です。

目的別!「炭水化物」の上手な摂り方

ここでは目的別に炭水化物の上手な摂り方をご紹介します。中高生の体づくりに、ぜひ参考にしてみてくださいね。

(1)肥満を防ぐなら「食物繊維とセットで摂る」のがポイント

糖質を一気に吸収すると血糖値が急上昇します。エネルギー源として使いきれず余った糖質は、脂肪として蓄積されます。

そこで、重要になるのが「食物繊維」です。食物繊維は腸の健康に関係するだけでなく、糖の吸収を緩やかにする働きがあることから、血糖値の急上昇を抑える役割があるとされています。
米や小麦、そばなどの穀類には、もともと糖質と食物繊維が備わっていますが、精白されたものは、食物繊維の量が減少します。

ごはんを炊く際は、雑穀を加えるなどして食物繊維を増やす工夫をすると良いでしょう。また、全粒粉を使ったパンやパスタなどもおすすめです。

(2)筋肉をつけたい場合は運動する前後1~2時間で食べると効果的

筋肉を効率よくつけたい場合も炭水化物が重要な役割を果たします。空腹のまま運動すると、筋肉中のたんぱく質を分解してエネルギー源に変えようとするため、筋肉量が減る原因に。
運動前は消化・吸収に負担が少ない炭水化物を中心にエネルギーを補給しましょう。

また、運動後の体はエネルギーを消耗しています。そこで、運動後30分、遅くても1時間以内にたんぱく質と炭水化物を補給することで、筋肉の分解を防ぎ、運動で傷ついた筋肉の修復を促して、疲労回復を早める働きが期待できます。このとき、筋肉を運動前の状態に戻すのではなく、筋繊維が少し太く強くなって修復されることから、適度にトレーニングを繰り返すことで筋肉がつきやすくなるのです。

<運動前後のおすすめの食事内容>

●運動前(1~2時間前)
消化・吸収に負担が少ない炭水化物中心の食材を摂ることが大切です。
おにぎり、サンドイッチ、カステラ、バナナなど
●運動後(~30分以内)
炭水化物、プラスたんぱく質食材の組み合わせが最適です。
おにぎり、サンドイッチ、カステラ、バナナなどの炭水化物食材+ヨーグルトや牛乳、チーズなどのたんぱく質食材

(3)朝の活動源に炭水化物は最適!朝食を摂って元気な1日を

朝食には睡眠によって低下した体温を上昇させ、休んでいた脳や体を目覚めさせる働きがあります。朝食を抜くと、午前中に活動するためのエネルギーが不足した状態となり、勉強の効率も上がりません。「時間がない…」「面倒くさい…」と思わず、しっかり朝食を摂るようにしましょう。

文部科学省の平成31年度(令和元年度)全国学力・学習状況調査では、中学生の国語と数学、英語のテストでは、朝食をしっかり食べている子ほどテストの点数が高いという結果も出ており、脳機能を高めるためにも朝食を摂ることが重要視されています。(注2)

なかでも朝食におすすめなのが、ごはん食です。小麦を細かくすり潰した粉食(ふんしょく)であるパン食に比べ、粒食(りゅうしょく)であるごはんは口の中ですり潰しながら食べるため、噛む回数を増やしやすくなります。それにより腹持ちも良くなるので、午前中から勉強もはかどりやすいでしょう。余計な間食を防ぐためにも効果的ですね。

忙しい朝でも手軽に栄養チャージ! 朝食のおかずアイデア

朝食には、ごはんだけでなく、肉や魚などの主菜や野菜などの副菜を組み合わせることによって、体に必要な栄養素が摂りやすくなります。

ごはんから摂取したブドウ糖をエネルギーに変えるには、糖質の代謝をサポートしてくれるビタミンB1が不可欠。おかずにはビタミンB1が豊富な豚肉などを使った料理を組み合わせることで、ブドウ糖が効率よくエネルギー源になりやすくなります。
栄養素は互いに連携し合って働いています。そのため、主食におかずをつけることは、脳や体の機能を高めるためにも大切なのです。
ここでは、忙しい朝でも手軽に栄養素が補給できるおかずのアイデアをご紹介します。

(1)手軽な付け合わせ活用で簡単!栄養補給

下記のような食材は、ほとんど調理いらずで食べられるので忙しい朝には便利!キッチンに常備しておくと良いでしょう。

<主にたんぱく質を補給できる食材>
チーズ、納豆、卵、サラダチキン、ツナ缶、牛乳など
<主にビタミンCなどのビタミン補給ができる食材>
ミニトマト、パプリカ、キャベツ、キウイ、みかん、柿など
<主にカルシウムなどのミネラル補給ができる食材>
海苔、しらす、干し海老など

(2)具だくさんの汁もので品数アップ!

具だくさんのお味噌汁やスープは朝の強い味方!ひとつのお椀で、体に必要な栄養素が手軽に補給できます。夜のうちに作り置きしておけば朝は温めるだけでOK!好みの具材を取り入れて作ってみてください。

脳の働きを強化したい場合、食事には必須アミノ酸の「リジン」や魚の油に含まれる「DHA(ドコサヘキサエン酸)」が摂れる食材を取り入れるのも良いでしょう。リジンは肉類のほか、納豆や豆腐などの大豆製品・牛乳などで、DHAはサバ缶やツナ缶などで手軽に摂れます。

「炭水化物」をしっかり摂って元気な1日を!

いかがでしたか?炭水化物は私たち、特に成長期の中高生にとって大切な脳と体のエネルギー源。きちんと摂って勉強や運動を頑張れる体づくりをしていきましょう。

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