ハウス食品グループでは毎年、東京本社が所在する千代田区の九段中等教育学校さまの、第一学年「総合的な学習の時間『地域を知る~企業訪問』」に協力しています。この授業は、キャリア教育や社会性の育成を目的に、生徒さんが千代田区内の企業・事業者を訪ね、そこで出された課題に対して解決策を提案するというユニークなもの。ハウス食品グループはこの趣旨に賛同し、共に学ぶ気持ちで取り組みを継続しています。
今回は、九段中等教育学校の一年生5名の生徒さんたちがハウス食品グループ本社CSR部の神宮字 慎さんを訪問し、食品ロスについて学習、ハウス食品グループの食品ロス削減の取り組みについて説明を受けました。そして、提示された課題「自分たちの学校の給食の食品ロスを減らす方法」について約3ヶ月かけて考え、プレゼンしてくれました。
中学一年生の生徒さんたちが、ハウス食品グループと食品ロスについて学習
2022年10月28日(金)に千代田区立九段中等教育学校の生徒さんが、ハウス食品グループ本社を訪問。学習がスタートしました。
まず、神宮字さんから、ハウス食品グループの沿革や企業理念、事業内容と製品・サービスの紹介がありました。続いて、ハウス食品グループが取り組む「3つの責任の取組み~『お客様とともに』『社員とその家族とともに』『社会とともに』」の紹介があり、CSR部は、主に『社会とともに』の領域の仕事をしている、と説明を受けました。
この後からが本題。神宮字さんの「食品ロスって知っていますか?」という問いかけからはじまり、さらに「事業系食品ロス」=事業から出る食品ロスと「家庭系食品ロス」=家庭から出る食品ロスの量などの実情、アンケートから分かった家庭で食品ロスが発生する理由について学びました。そうした状況の中で、ハウス食品グループが進める食品ロス削減の提案「もっとカレーだからできることプロジェクト」について、なぜこのプロジェクトを始めたのか、どんなことをやっているのか、の説明を聞きました。
「もっとカレーだからできることプロジェクト」は、カレーというおなじみのメニューでおいしく楽しく食品ロスを減らそうというメッセージをテレビCMやプロジェクトのホームページで発信し、行政との取り組みや、賛同された各方面の事業者・団体との連携・協業に広がり、テレビや報道などでも取り上げられてたくさんの反響があったことも説明がありました。
●学習の後に生徒さんたちに出された課題は…
そして、出された課題は「みなさんの学校:九段中等教育学校の「給食の食品ロス」が半分になる仕掛け・活動を考えてください。できれば、やってみてください!」というもの。
生徒さんたちは、早速、どうしたらできるだろう、どう進めたらいいだろう、と頭が働いたようです。「うちの学校は、学校で調理しているのではなく、外で作って運んできているから、作っている人に働きかけるのは難しそう」とか、「すごく食べる人もいれば、時間内に食べられない人もいる。食べるスピードや量が人によって違うし」、「食べ残しが出るのは時間が足りないかもしれない。でも給食の時間を延ばすのは難しいんだろうな」など、さまざまな現状認識が現れ、「難しそうだけど、できたらすごいかも!」と解決のスタート地点で前向きに取り組む意欲が高まった印象でした。
その感想を受け、神宮字さんから、進め方のアドバイスがありました。特に大事、と紹介したことは、「リサーチ:何がどれぐらい残るか。どうして残るのか。を知ること」と、「解決のための仮説を立てる:リサーチで原因がわかったら解決策のアイディアをたくさん考えてみよう。わかりやすく整理できるロジックツリーを使ってみよう。」の2つでした。
「何か想いを持って成し遂げたら、それがリーダーシップ。行動を起こしてみんながハッピーになるように動いて欲しいです」という激励を受けて、生徒さんたちは笑顔でこの日の学習を終えました。
給食の食品ロス削減チャレンジを生徒さんたちがプレゼン!
年が明けて、1月20日(金)。約3ヶ月に渡り、給食の食品ロス削減に取り組んできた生徒さんたちが、自分たちが考えた解決策と結果を携えて、再びハウス食品グループ東京本社を訪ねてくれました。
プレゼンテーションがいよいよスタート。プレゼンを受けるのは、ハウス食品グループ本社広告統括部の課長で、「もっとカレーだからできることプロジェクト」を推進した生田さんと、CSR部CSR推進課の社員3名、そしてこの取り組み窓口の神宮字さんです。
生徒さんたちは緊張した面持ちでしたが、堂々と話し始めました。
プレゼンは下記のような内容でした。
- 食品ロスについて自分たちで調べてわかったこと
- 自分たちが考えた「給食で食品ロスが出る原因」と「給食の食品ロスを減らすためのアイディア」
- 実際にやってみた結果と考えたこと
1.食品ロスについて自分たちで調べてわかったこと
はじめに、生徒さんたちは自分たちで調べた、食品ロスに関連するさまざまな問題について説明してくれました。世界では食品ロスが発生している反面、食糧が十分に届かないという食糧問題、また地球環境に対しても、廃棄物を燃やすことで発生する二酸化炭素や、ゴミを埋める際に発生するメタンガスなどによる地球温暖化問題などです。
また、全国の中学校の給食で出る食品ロスの量を調べたところ、「食べ残し」による廃棄が多いこともわかりました。
生徒さんたちは、食品ロスの実態やその影響を調べてみて、改めて、食品ロスに自分たちが正面から向き合っていかなければいけないと想いを強くしたそうです。
2.自分たちが考えた「給食で食品ロスが出る原因」と「給食の食品ロスを減らすためのアイディア」
続いて、実際に考えたこと、取り組んだことの説明がありました。
①取り組みの対象と誰に働きかけるかの決定
まず、給食の食品ロス削減に取り組むにあたっては、自分たちの学校では調理をしていないので、調理過程で出る食品ロスや給食の量を管理するのは難しいと判断し、『食べ残し』を取り組み対象として、働きかけるのは、『生徒』と決めました。
②食品ロスについてクラスの全員にアンケートを実施
次に、クラスの全員にアンケートを実施したところ、次のようなことがわかりました。
(主な質問と回答)
その1 『食品ロス』について知っていますか? | → 99%の生徒が知っていた |
その2 どうすれば給食の食品ロスを減らせるか | → 「一人ひとりが食べる量を増やす」という意見が多かった |
その3 あなたが食べ残しをするときの理由は? | → 好き嫌いがある
食欲がない
時間がない
配膳(ごはんやおかずの取り分け・盛り付け)の量が多い
ほか
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アンケート結果から、「食べ残し」の理由の中で、「給食時間」や「好き嫌い」については、自分たちで対応したり制御することは困難であるため、「配膳の量を調整する」ことが改善の糸口になるのではないか、と考えました。
③実際に給食の場面を観察してわかったこと
給食の時間では、給食係の生徒さんがごはんやおかずなどを全員に配膳(取り分け・盛り付け)し、それからもっと食べたい人には増やす、食べられない人には減らす、ということをしています。注目したのは、はじめに全員に配膳する量。全員に公平に行き渡らせるために、少し少なめに盛りつけていたので、残りが出ていました。ここを改善すればよいのでは?という方向に固まってきました。
この間、給食委員の生徒さんたちとも食品ロスを減らすための意見交換も行いました。
④「給食の食品ロスを減らすためのアイディア」の決定
ここまで考えたことを整理するために、アンケートや観察で分かった原因とその解決のアイディアをロジックツリーでまとめてみました。その結果、自分たちができる範囲で、解決につながる可能性が高いアイディアとして、「一人ひとりの配膳(取り分け・盛り付け)の量を増やす」ことに決定しました。
ここまでのプロセスで、生徒さんたちは現状の整理を丁寧に行い、給食の食品ロス削減に向けた取り組み方針と解決策を決めました。そしていよいよその解決策を実施した結果は・・・!?
3. 実際にやってみた結果と考えたこと
実施したのは、12月の中旬の1週間。クラスのみんなに協力してもらって実施したそうです。
実際に、給食係の生徒さんが配膳をするときに、目安になるように、「ひとりあたり、しゃもじひとすくいと半分」とよそい方と量をホワイトボードに掲示してわかりやすいように工夫し、そして、見事、給食の食品ロスを減らすことに成功!
●プレゼンテーションを終えての感想交流
生徒さんたちの見事なプレゼンテーションに、社員たちは大絶賛の拍手を送りました。社員たちからは、「きちんと現状を把握し、仮説を立てて、やり方を工夫して成果に結びつけたことは素晴らしいです。特にロジックツリーも上手に使っています」、「好き嫌いへのアプローチを予想していたが、一人ひとりへの配膳量を多くして、少しずつ多く食べてもらう。さらに、多くした基準から増やす、減らすという再配分をするという、誰にも負荷がかからない、個人を尊重するスタンスに感銘を受けた」、「学校にやってもらうこと、給食会社の人にやってもらうこと、自分たちでできることをロジックツリーで説明してくれたのが良かった」などの感想が挙がりました。
その後も社員たちとのざっくばらんな交流が続く中で、生徒さんたちは今回の取り組みの感想や終わってみて考えていることを紹介してくれました。
- ・とても大変だったが、結果、食品ロスを減らすことができて、達成感があった。
- ・進めるうえで、いろいろ考えて工夫したことが自分の力になったと思う。
- ・配膳の仕方が難しかった。量の増減をみんなに伝えることが難しかった。
- ・今回は自分たちのクラスだけだったが、今後、学校全体のルールにすれば、より給食の食品ロスを減らせるかもしれない。
- ・コロナが収まってきて、給食係による配膳や、黙食などが元に戻ると、ルールや食べる量も変わるかもしれない。
生徒さんたちのプレゼンを受けての神宮字さんの感想
生徒さんたちのプレゼンについて、当日も講評をしたり、感想を通して交流されていた神宮字さんから、改めて今回の取り組みへの感想が寄せられました。
「自分たちの学校の給食の食品ロスを減らそう!」というテーマは、生徒さんたちに、社会の課題に一緒に取り組んでいきたいという私たちの想いからご提示したものです。このテーマは、中学一年生の生徒さんたちにとって、簡単なことではなく、大きな“冒険”だったのではないかと思います。
10月に来社されたとき、はじめはとても緊張していた生徒さんたちでしたが、徐々に表情が明るくなり、チャレンジへの期待やワクワク感が高まっていくのが良くわかりました。
そして、1月の報告会での生徒さんたちは、“大冒険”を見事成し遂げ、学校では誰もやったことがないことを自分たちで一所懸命考えてチャレンジしたことへの充実感、クラスを巻き込んで見事やり遂げた達成感で、自信と笑顔にあふれて素晴らしかったです。
そして、生徒さんたちの学びと成長の機会にご一緒できたことは、私たちにとって大きなよろこびであり、また私たち自身もたくさんの刺激や気づきをいただいたうれしい時間でした。
このような貴重な機会をいただいた先生方や生徒さんたちに改めて御礼を申しあげます。そして、今後も私たちは、お客様や社会のグッドパートナーとして、ともに社会への貢献に向けて歩んでいきたいと思っています。
【まとめ】
生徒さんたちの社会課題へのチャレンジに、ハウス食品グループとして大いに学びと勇気をいただいた、そんなうれしい機会でした。今後もハウス食品グループではさまざまな活動を通して、社会に貢献してまいります。
※本ページの記載内容は記事公開時点の情報に基づいて構成されています。