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管理栄養士が提案!親子でお弁当を作って「食べるのが楽しい」と思える子どもに

管理栄養士が提案!親子でお弁当を作って「食べるのが楽しい」と思える子どもに

「おいしく楽しく食べること」。当たり前のことのようですが、毎日のこととなるとつい疎かになりがちですよね。厚生労働省でも、食育の総合的な促進のひとつに「子どもが実際に自分で料理をつくるという体験を増やしていく」と掲げており(注1)、おいしく食べるための環境作りを推進しています。そこで、今回提案したいのが「親子でのお弁当作り」です。

児童が自分のお弁当を作る「弁当の日」を採用する公立の小中学校も増えており、その数は2020年3月末時点で2,000校以上。コロナ禍でおうち時間が増える今こそ、お弁当作りで1食分の栄養バランスを学んだり、親子のコミュニケーションを深めたりしてみませんか? 「ただ作る」のではなく、食育としてのポイントや子どもの気持ちを育てる工夫なども、 併せてご紹介します。

記憶にも残りやすい「お弁当」の存在

みなさんにもきっと、お弁当にまつわる想い出があるのではないでしょうか?学生時代に親が毎日作ってくれたもの、好きな人に初めて作ったもの。お弁当には、さまざまな「気持ち」が詰まっています。

作り手は食べる人を思い浮かべながら作り、食べる側も作り手を感じながら食べることができる「お弁当」。「反抗期でもお弁当だけは完食してくれる」といったように、空っぽになったお弁当箱から、喜びや安心を感じる親御さまも多いかもしれません。

お弁当は感謝の気持ちを育み、それを伝えるきっかけにもなります。そして、お弁当が優れているのは、感情に問いかけてくれる点だけではありません。一緒にお弁当を作れば、お弁当作りそのものが想い出になるほか、箱に入ったお弁当ならではの食育にもつながります。

生産者の顔を思い浮かべて、子どもと買い物をしてみよう

子どもと一緒に食材を買い行くのも食育につながります。野菜や肉、魚のラベルを見ると、産地や生産者について書いてあることがあるので、「○○県って○○で有名なところだよね」「○○さんが作っているんだって」と、生産者を想像できるような会話を取り入れてみると良いでしょう。

写真のような野菜の直売所や精肉店、鮮魚店にお子さまと一緒に行くこともおすすめです。筆者もよく直売所で買い物をしますが、子どもは興味津々。「これは生でも食べられますよ!」「もう少し木に実らせておくと、色が変わるんです」など、直に生産・加工している人の話が聞けたり、おいしい食べ方を教えてもらえたりします。

作り手を思い浮かべることができれば、生産者の気持ちにまで配慮できるようになり、「残さず食べよう」といった気持ちになりやすいもの。買い物中の会話が、自然と食育にもつながります。

お弁当で学ぶ栄養バランスの整え方

お弁当は、お弁当箱の面積比で栄養バランスを考えられるので、誰でも簡単に栄養素を意識できます。子どものうちに正しい栄養学を身につければ、思春期や成人になってから無理なダイエットや過食を防ぐ効果も期待できるでしょう。ここでは、お弁当箱の選び方や栄養素についての考え方など、すぐに実践できるポイントをご紹介していきます。

1.ちょうど良いお弁当箱のサイズ

適切なお弁当箱のサイズは、1食で摂取したいエネルギー量(kcal)の数値を、容量(ml)に変換すればOK。たとえば、1食で900kcalを摂取したいなら、容量が900mlのお弁当箱となります。

1食で摂取したいエネルギー量は、1日のエネルギー必要量の1/3が目安。1日のエネルギー必要量は、年齢・性別・普段どの程度体を動かしているかといった条件によって異なるため、以下の表を参考にしてみてください。

推定エネルギー必要量(kcal/1日/1食)

身体活動レベル 低い 普通 高い
自宅にいてほとんど動かない 通学などで移動する程度の運動 運動部など体を積極的に動かす
年齢 性別 1日 1食 1日 1食 1日 1食
6〜7歳 男性 1,350 450 1,550 517 1,750 583
8〜9歳 1,600 533 1,850 617 2,100 700
10〜11歳 1,950 650 2,250 750 2,500 833
12〜14歳 2,300 767 2,600 867 2,900 967
15〜17歳 2,500 833 2,800 933 3,150 1,050
18〜29歳 2,300 767 2,650 883 3,050 1,017
6〜7歳 女性 1,250 417 1,450 483 1,650 550
8〜9歳 1,500 500 1,700 567 1,900 633
10〜11歳 1,850 617 2,100 700 2,350 783
12〜14歳 2,150 717 2,400 800 2,700 900
15〜17歳 2,050 683 2,300 767 2,550 850
18〜29歳 1,700 567 2,000 667 2,300 767

(日本人の食事摂取基準2020年版「エネルギー・栄養素」をもとに作成)

15歳男性、部活動で毎日運動しているというモデルケースの場合、運動習慣があることから1日のエネルギー必要量は3,150kcal。この1/3となる1,050kcalを1食で摂取することが推奨されています(表ピンク箇所)。つまり容量は、1,050mlのお弁当箱が理想的。朝食や夕食の内容も加味して、容量を調節しても良いでしょう。

2.「三色食品群」を意識してみよう

主にどのような働きの栄養素を含んでいるかに注目して食品をグループ分けする「三色食品群」は、小学校の授業でも取り上げられている手法です。「体をつくるもとになる食品」は赤、「エネルギーのもとになる食品」は黄、「体の調子を整えるもとになる食品」は緑というように三色に分け、これらをバランスよくお弁当に入れていきましょう。

堅苦しく勉強する必要はありません。大切なのは、「ほうれん草は赤、黄、緑のうちどれ?」のように会話しながら作ること。栄養バランスについて考える意識づけや、食材の役割を楽しく身につけるきっかけにしていきましょう。

3.主食・主菜・副菜とは?

「主食」はエネルギー源になるもので、炭水化物を多く含む米や・うどん、パンなど。「主菜」は体を作るもとになるもので、たんぱく質を多く含む肉や魚、卵など。「副菜」は体の調子を整えるもとになるもので、ビタミンやミネラルを多く含む野菜や海藻類が当てはまります。三色食品群に置き換えると、主食は黄、主菜は赤、副菜は緑となります。

お弁当箱に詰めるときは、その面積に対して「主食:主菜:副菜=3:1:2」の割合になるようにすると、栄養バランスが整いやすくなります。これは「3・1・2弁当箱法」と呼ばれ、何をどれだけ食べたら良いか、分かりやすくするためにNPO法人食生態学実践フォーラム(注2)によって考案されました。

お弁当箱に詰める際には、料理が動かないよう、すき間を作らず詰めましょう。ただし、詰めすぎにも注意が必要。お弁当箱の容量の70%程度の重量が推奨されています。果物やチーズなどの乳製品をプラスすると、より多くのビタミンやミネラルを補給できるので、こういった情報も子どもたちと共有してみてください。

「3・1・2弁当箱法」の5つのルール

  1. 食べる人にとって、ぴったりサイズの弁当箱を選ぶ(例えば、1食に700kcalがちょうどよい人は、700mlの弁当箱を)
  2. 動かないようにしっかりつめる
  3. 主食3・主菜1・副菜2の割合に料理をつめる
  4. 同じ調理法の料理(特に油脂を多く使った料理)は1品だけ
  5. 全体をおいしそう!に仕上げる

子どもと一緒に作る楽しさ、食べてもらう嬉しさを体感

誰かに作るのであれば、食べてもらうまでのドキドキやワクワクも、お弁当の醍醐味です。子ども自身が食べる人のことを想いながら作れば、作り手の気持ちが分かるようになり、「こういう気持ちで作ってくれていたんだ」と実感でき、作る楽しさと食べてもらう嬉しさが体験できます。

また、「喜んでくれるかな?」と、空のお弁当箱が返ってくるまで想像できるのもお弁当の良いところ。こういった気持ちの変化も、子どもの食育につながります。

このほか、彩りを考えながらお弁当箱に詰めるのも楽しみのひとつです。お弁当の定番ミニトマトは、雑菌の繁殖を防ぐためヘタを取り、しっかり洗って水切りを。このほか、ブロッコリーや枝豆、にんじんなども彩りをよくしてくれるでしょう。

一緒に作るのであれば、大人が手を出し過ぎないことも大切です。まずは手本を見せ、安全を確認したうえで子どもに任せてみてください。子どもは大人が思っている以上にいろいろなことができるもの。一緒に作ることで、大人のほうが驚かされることも多いはずです。

食べ物の「好き嫌い」克服のきっかけにしよう

お弁当作りは、食べ物の好き嫌いを克服するきっかけにもなります。おいしく食べる、食べてもらうことを考えて味付けしたり、調理法を工夫したりしてみてください。好きな食材や嫌いな食材があれば、なぜ好きなのか、どんな調理法なら食べやすいか、会話しながら一緒に作れば、おいしい食べ方を見つけるヒントとなります。

また、「なすは苦手だけど、揚げてあるとおいしい!」というように、同じ食材でも、煮る・焼く・揚げるなど、調理法によって食感や味わいが変わることを知るきっかけにもなります。「この野菜は苦手だけど、お弁当に入っている分は食べてみよう」という意欲にもつながるでしょう。

子どもに必要な食育は、机に向かって勉強するようなものではなく、何気ない日常生活の中で育まれていくものです。「食育」と張り切って、特別なことをする必要はありません。

買い物で生産者を思い浮かべ、作る過程で相手を思いやり、何をどのくらい詰めるかで栄養学も学べるお弁当作り。親子のコミュニケーションを大切にしながら取り組み、子どもの食べる意欲を育ててあげましょう。

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