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【管理栄養士監修】夏の時期は特に知っておきたい!身近な食材を使った食中毒予防の方法

【管理栄養士監修】夏の時期は特に知っておきたい!身近な食材を使った食中毒予防の方法

気温や湿度が高くなるこの時期、心配になるのは食品が傷まないかどうか。コロナ禍で外食を控えることで、自炊派の方も増えたのではないでしょうか? 夏にかけて、特に食中毒予防のためにも食材が傷まないように工夫して料理を作ることが大切になります。
そこで今回は、食中毒予防のための”殺菌・防腐作用”のある食材や活用方法などをご紹介します。

食中毒はどうして起こる?

“食中毒”と聞くとどのようなものをイメージしますか?恐らくO157やサルモネラ菌による下痢や腹痛、発熱などでしょうか。食中毒は原因を1つに絞ることができません。そこで、まずは代表的な食中毒の原因についてお伝えします。

●食中毒が起こってしまう原因

食中毒の原因は、主にウイルス性と細菌性の2種類に分類できます。元々、その食べ物にウイルスや細菌が付着していたり、途中から付着したウイルスなどがさまざまな要因により増殖したりすることで、体の中に入って悪さをします。

ちなみに、厚生労働省の発表によると、令和2年に起きた食中毒の原因の約65%が細菌、約25%がウイルス由来といわれています。(注1)
細菌性は6~8月の夏場に多く発生し、ウイルス性は12月~3月の冬場に多く発生します。

食中毒の代表的な症状としては、吐き気や頭痛、下痢、腹痛、発熱などです。しかし、このような症状や食べてから発症するまでの時間は、食中毒の原因によって異なります。食中毒と一口に言っても、症状が軽い場合もあれば、命に関わるほど危険な場合もあるため、まずは食中毒にならないための予防が大切です。

食中毒の代表的な種類

<細菌>
  1. サルモネラ菌
    原因:加熱が不十分な卵や肉、魚など
    特徴:乾燥に強く、熱に弱い
    発症するまでの時間:食後6~48時間
  2. 黄色ブドウ球菌
    原因:調理をする人の手によって汚染されたおにぎりやお弁当、サンドウィッチなど
    特徴:熱に強い
    発症するまでの時間:食後30分~6時間
  3. 腸管出血性大腸菌(O157など)
    原因:加熱不十分な肉や洗浄不十分な野菜、井戸水など
    特徴:菌の種類は複数あるが、十分な加熱で防げる
    発症するまでの時間:食後12~60時間
<ウイルス>
  1. ノロウイルス
    原因:加熱不十分な牡蠣やあさり、しじみなどの2枚貝など
    特徴:熱に弱く、1分以上の加熱(85℃以上)で防げる
    発症するまでの時間:食後1~2日
  2. ロタウイルス
    原因:特に、二枚貝が多いが、原因は特定されないことが多い
    特徴:約1週間は便の中に排泄される
    発症するまでの時間:食後2~4日
  3. アデノウイルス
    原因:便にいるウイルスが付着した手を介して経口感染
    特徴:3歳以下の乳幼児が感染することが多い
    発症するまでの時間:食後3~10日

食中毒予防のために知っておきたいこと

食中毒は私たちがポイントを押さえて、注意をすることで高い確率で防ぐことができる病気です。とても簡単ですぐに取り入れることができるものも多いので、ぜひ試してみてくださいね。

●食中毒予防の3原則「付けない・増やさない・殺す」

食中毒は細菌やウイルスが付着した食べ物が体の中に入ってきて、悪さをすることで発症します。そのため、食中毒を予防するためには、以下のことを行うことが重要であるといわれています。

  1. 細菌などを食べ物に『付けない』
  2. 食べ物に付着した細菌などを『増やさない』
  3. 食べ物や調理器具などに付着した細菌などを『殺す』

ただし、ウイルスに関しては、食べ物に付着して増えるということがありません。そのため、ウイルスによる予防には調理場などへ「持ち込まない」「広げない」ことも重要です。

こうして聞くと難しく感じられるかもしれませんが、すぐにできることなので、意識して行動に移しましょう。

では、具体的にどのようなことをすればよいのかというと、食べ物を触る前にしっかりと手を洗ったり、食べ物(洗えるもの)や調理器具を清潔に保ったり、肉や魚を他の食材とは別に保管したりするとよいでしょう。そして、調理する時には、食材の中心までしっかりと火が通るように加熱することが大切です。
加えて、生ものや調理したものはできるだけ早く食べましょう。すぐに食べられない場合には、冷蔵庫などの細菌やウイルスが増えにくい低温での保存が効果的です。

● 傷みやすい食材について

食中毒予防に気をつけていても、食材選びを間違えてしまうと、特に気温の高い夏には、食中毒を引き起こすリスクが高まります。特に、夏のお弁当などにも避けた方がよい傷みやすい食材をご紹介します。

生野菜や非加熱の練り物(ハム、チーズ)などは傷みやすいため、使用する場合には、しっかりと加熱をしましょう。そして、加熱が不十分な半熟の卵料理も避けることをおすすめします。
また、煮物のように水分量が多いメニューは傷みやすいため、あまりおすすめしませんが、もし入れる場合は汁気を切って、水分を飛ばしましょう。煮物によく使用されるじゃがいもや里芋などの芋類はでんぷん質が多く菌が増殖しやすいため、避ける方が望ましいです。

食中毒予防に欠かせない栄養成分がある!?

傷みやすい食材は避けつつ、食中毒予防になる栄養素を豊富に含む食材を活用しましょう。

●食中毒予防に玉ねぎが使える?アリシンを豊富に含む食材について

硫化アリルの一種である“アリシン”には、強い殺菌効果があるといわれます。そのため、昔から食中毒予防の薬味として使用されていました。
アリシンは、にんにくや玉ねぎの独特の香りや辛みのもととなる成分であるため、簡単に取り入れることができます。他にも、ねぎやニラ、あさつきなどにも豊富に含まれています。

●クエン酸や酢酸などの有機酸を豊富に含む食材について

日の丸弁当の象徴である梅干しに豊富に含まれているクエン酸や、酢に含まれている酢酸は有機酸を豊富に含むため、食材が傷むのを防ぐ働きがあります。

●その他の食中毒予防に期待できる成分について

他にも、お茶の苦み成分で有名なカテキンや生姜の辛み成分であるジンゲロール・ショウガオールなども食中毒予防が期待できます。
加えて、使用する習慣は少ないかもしれませんが、クレソンやセージ、ペパーミントなどのハーブやスパイスなども上手に活用できるとよいでしょう。

食中毒予防が期待できる食材活用方法

玉ねぎなどに多く含まれるアリシンは、水に長時間さらすと成分が流れ出てしまい、熱にも弱いことから、生のまま食べるのがおすすめです。殺菌効果を効率よく摂取する際には、細かく刻むか、すりおろすなどして薬味として食べるのが効果的です。また、油でコーティングすると成分が損なわれにくくなるため、辛味が苦手な方はオリーブオイルやドレッシングと合わせて食べるのがよいでしょう。

夏は暑くて食欲が減退してしまうこともあり、食欲増進のために酸味が欲しくなる季節でもあります。そのため、梅干しや酢を使用した酢の物やマリネなどの和え物、肉や魚の甘酢漬けなどが傷みにくくてよいでしょう。
お弁当の場合には、ごはんの上に梅干しをのせることは食中毒予防の面からみてもおすすめです。また、お弁当箱に詰める前に、酢でお弁当箱を拭き上げることもよい予防法です。

食中毒予防のためにすぐに取り入れてできること、これからの時期は特に食中毒予防の3原則を意識しながら、にんにくや玉ねぎ、梅干し、酢などを上手に活用してみてはいかかがでしょうか?

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