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【管理栄養士監修】代替肉“大豆ミート”が世界を救う?特長や食べ方を知っておいしく持続可能な未来づくりを!

【管理栄養士監修】代替肉“大豆ミート”が世界を救う?特長や食べ方を知っておいしく持続可能な未来づくりを!

まるで、お肉のような食感を楽しめる大豆加工食品の“大豆ミート”。近年、その市場は拡大傾向にあり、10年以内には肉全体の約10%を“大豆ミート”が占めるという試算が発表されるなど、世界的に“大豆ミート”の注目度が高まっています。日本でもここ数年の間に多くの食品メーカーから“大豆ミート”の製品が販売されるようになり、スーパーなどで気軽に入手できるようになりました(注1)。“大豆ミート”の市場が拡大した背景には、健康によい食品としての側面だけでなく、地球にやさしい食材を選択する価値観や考え方への社会的な関心の広がりがあるようです。
そこで今回は、“大豆ミート”の魅力をはじめ、そのメリットや使い方などをご紹介します。

“大豆ミート”って、どんなもの?

“大豆ミート”とは、油分をしぼった大豆に、熱や圧力を加えて“お肉のような食感や見た目を再現した大豆加工食品”のことです。「フェイクミート」「プラントベースミート」とも呼ばれ、代替肉の代表的な食材として、ベジタリアン(菜食主義者)やヴィーガン(完全菜食主義者)の方をはじめ、健康志向の方を中心に人気が出ています。

お肉と比べてカロリー約1/4!?“大豆ミート”の5つの魅力♪

“大豆ミート”の栄養価をお肉類と比べてみましょう。実際にお肉と比較すると、私たちの健康や美容に役立つ5つの魅力があることがわかります。

<“大豆ミート”とお肉類の栄養価比較(可食部100gあたり)>

エネルギー たんぱく質 脂質 食物繊維 コレステロール
大豆ミート※ 106kcal15.4g1.0g5.9g0mg
牛肉
(かたロース・脂身つき・生)
380kcal13.8g37.4g0g89mg
豚肉
(ばら・脂身つき・生)
366kcal14.4g35.4g0g70mg
鶏肉
(もも・皮つき・生)
190kcal16.6g14.2g0g89mg

【出典】文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」及び「第2章(データ)」より抜粋
※乾燥“大豆ミート”水戻し後(3倍)の計算値(粒状大豆たんぱくの値参照)

①低カロリー(低エネルギー)

牛かたロース肉のカロリーは380kcal、豚ばら肉は366kcal、鶏もも肉は190kcal。対して、“大豆ミート”は、106kcalと、お肉の約1/2~1/4ほど。いつものお肉を“大豆ミート”に変えるだけで、肥満や生活習慣病に気をつけたいカロリーを抑えることができます。

②高たんぱく質

たんぱく質は、筋肉や皮膚・髪・ホルモンなどの構成成分で、1日あたり、成人男性で65g、成人女性で50gの摂取を推奨されています(注3)。

“大豆ミート”100gあたりには、たんぱく質が15.4g含まれているため、女性の1日のたんぱく質摂取推奨量の約1/3は大豆ミートで摂取可能に。また、この量は100gあたり16.6gのたんぱく質を含んでいる鶏もも肉と比べても引けをとりません。

③低脂質

“大豆ミート”は、大豆の油分をしぼって作られているため、低脂質です。100gあたり37.4gの牛かたロース肉に対して、“大豆ミート”の脂質は1.0g。大豆ミートは、脂質の摂り過ぎを抑えて、健康的なからだづくりをしたい方におすすめです。

④食物繊維が豊富

食物繊維は血糖値上昇の抑制、血液中のコレステロール濃度の低下など、生活習慣病の予防に役立つ働きがあり、1日あたり、成人男性で21g以上、成人女性で18g以上の摂取を目標とされています(注3,4)。“大豆ミート”には、お肉には含まれていない食物繊維が100gあたり、5.9gも含まれているのも魅力です。野菜100gあたりでいえば、ごぼう(生)5.7gと同じくらい含まれています。

⑤コレステロールフリー

コレステロールは、細胞膜やホルモンを作るために必要不可欠な成分ですが、摂り過ぎは生活習慣病の原因になることが懸念されています(注5)。“大豆ミート”であれば、主に、お肉の脂身や卵など、動物性食品に多く含まれているコレステロールが含まれていないのも、注目されている理由のひとつです。

“大豆ミート”は代替肉としての役割だけじゃない!持続可能な未来づくりにも貢献!?

さらに、最近では、“大豆ミート”が健康的な食材であると同時に、地球にやさしい食材としても注目されています。それは一体どうしてなのでしょうか。その背景には、環境・食料問題との密接な関係があります。ここでは、2つの理由をピックアップします。

①地球環境問題の解決策として期待

食肉と地球環境とで関わりがあるのが畜産のための飼料生産です。馬や牛・豚・鶏などの飼料となる穀物を生産し確保するためには、森林伐採をした広大な牧地や大量の水資源の確保が必要になります。

また、牛のゲップなどで排出される温室効果ガスが地球環境に影響を与えているともいわれています。
そこで注目されるのが、“大豆ミート”も含めた代替肉です。大豆を生産する際に排出される温室効果ガスは畜産に比べて大きく抑えられ、環境への負荷が抑えられるだけでなく、主原料である大豆は肉類に匹敵するほどの良質なたんぱく源でもあります。100gあたりの牛肉と大豆のたんぱく質を比較すると、比較的たんぱく質が多いとされる牛もも肉は19.2g、豚ヒレ肉(赤肉)は22.2g、鶏ささみ肉は24.6gなのに対し、乾燥した国産の青大豆には33.5g、黄大豆には33.8gも含まれているのです。世界的な健康志向の高まりから、今後、大豆ミートの需要はさらに高まることが予想されています(注2,6,7,8,9)。

<大豆とお肉類のたんぱく質の比較(可食部100gあたり)>

●大豆

青大豆(国産 乾) 33.5g
黄大豆(国産 乾) 33.8g
黒大豆(国産 乾) 33.9g

●肉類

牛肉(かた 脂身つき 生) 17.7g
牛肉(サーロイン 脂身つき 生) 11.7g
牛肉(ばら 脂身つき 生) 11.0g
牛肉(もも 脂身つき 生) 19.2g
牛肉(ヒレ 赤肉 生) 19.1g
豚肉(かた 脂身つき 生) 18.5g
豚肉(ロース 脂身つき 生) 19.3g
豚肉(ばら 脂身つき 生) 14.4g
豚肉(もも 脂身つき 生) 20.5g
豚肉(ヒレ 赤肉 生) 22.2g
鶏肉(むね 皮なし 生) 24.4g
鶏肉(もも 皮なし 生) 22.0g
鶏肉(ささみ 生) 24.6g

【出典】文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」より抜粋(注2)

②食料問題貢献への期待

2050年には、世界の人口が約97億人と、2010年比の1.4倍に増加することが予想され、それに伴う食料需要の逼迫が危惧されています。からだの構成に欠かせない「たんぱく質」の供給を食肉に依存するのは限界があります。近い将来、たんぱく質の需要と供給のバランスが崩れてしまう「たんぱく質クライシス」が懸念されており、効率的にたんぱく質を摂取できる“大豆ミート”が期待されているのです(注7,10)。

用途による使い分けでバリエーションアップ!“大豆ミート”の選び方&使い方

低カロリー・高たんぱく質なだけでなく、地球にもやさしいといわれている“大豆ミート”の形状はさまざま。ここでは、基本の形状や使い方について、おすすめの料理例とともにご紹介します。

“大豆ミート”の3タイプの特長

“大豆ミート”には、主に「ブロック」「ヒレ」「ミンチ」の3つのタイプがあります。

そのほか、「細切り・スライス・手羽先タイプ」など、さまざまな形状の“大豆ミート”が販売されています。お好みの料理によって、使い分けてみるとよいでしょう。

お肉のような満足感!“大豆ミート”を使ったレシピ

“大豆ミート”の「ブロック」「ヒレ」「ミンチ」の3つのタイプを活かしたレシピをご紹介します。

●「ブロック」タイプ:唐揚げ

唐揚げは“大豆ミート”レシピのなかでも定番料理のひとつ。下味をしっかりつけ、カラッと揚げてみましょう。しっかりとした食べ応えで、ご家族も大満足!

【作り方】
  1. ボウルに、しょうゆ・しょうが・にんにくのすりおろし・だし汁を入れて混ぜ合わせ、“大豆ミート”を入れて揉み込みます。
  2. ①の余分な汁気を切って片栗粉をまぶし、170~180℃に熱した油で、きつね色になるまで揚げたらできあがりです。

●「ヒレ」タイプ:チンジャオロース

牛肉を使った「チンジャオロース」も、“大豆ミート”を使って、ぜひ作ってみてください。下味をしっかりつけたり、オイスターソースなどで味づけしたりすることで、大豆特有の風味を気にせず、おいしい1品になります。

【作り方】
  1. ピーマン・たけのこは細切りに、しょうが・にんにくはみじん切りにします。
  2. ボウルに“大豆ミート”と酒・塩・こしょうを入れて下味をつけ、片栗粉をまぶします。
  3. フライパンにごま油を入れて中火で熱し、しょうが・にんにくを入れて炒めます。香りが出てきたら“大豆ミート”を数分、炒めて取り出します。
  4. ③のフライパンにごま油を入れてピーマン・たけのこを中火で炒めます。
  5. 野菜に火が通ったら、“大豆ミート”を戻し入れ、さっと炒め合わせます。最後に、オイスターソース・しょうゆ・砂糖・酒を加えて手早く炒め合わせたらできあがりです。

●「ミンチ」タイプ:ハンバーグ

ハンバーグは子どもから大人まで、幅広い世代に人気のあるメニュー。「ミンチ」タイプを使えば、お肉で作ったかのようなハンバーグに!お好みで、にんにくやしょうが、大葉を混ぜ合わせたり、ナツメグなどのスパイスを取り入れたりするのもおすすめです。

【作り方】
  1. 玉ねぎはみじん切りにし、フライパンにサラダ油を熱し、きつね色になるまで炒めます。
  2. ボウルに“大豆ミート”、①の玉ねぎ、パン粉・塩・こしょう・ナツメグ・片栗粉を加えてよく混ぜ、4等分にして楕円形に整えます。フライパンにオリーブオイルを入れて熱し、やや弱火に近い中火で両面に焼き色がつくまで焼いたら取り出します。
  3. 器にハンバーグと付け合わせ(レタスやミニトマトなど)を盛り、お好みのソースをかけたらできあがりです。

“大豆ミート”で健康維持!地球にやさしい生活も楽しもう!

いかがでしたか?低カロリー、低脂肪、高たんぱくな“大豆ミート”は、私たちの健康・美容に役立つだけでなく、環境に配慮した選択肢として、重要な役割を期待されている食材です。まずは週1回からなど、お肉の代わりに食卓に取り入れてみてはいかがでしょうか。

※本ページの記載内容は記事公開時点の情報に基づいて構成されています。

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