プロの視点で高品質を追求するスパイスブランド『GABAN』に、新しくオーガニックシリーズが登場しました。『GABAN オーガニック』と名付けられたこの製品には、どのようなこだわりが詰まっているのでしょうか? 開発を担当する東 英範さんに、シリーズの開発への想いをお聞きしました。
プロも認める、こだわりのスパイスブランド『GABAN』
『GABAN』は、「プロのためのスパイス」として生まれたブランドです。「その高い品質と豊富なバリエーションで、ホテルやレストランのシェフの方々にもご満足いただいております」と語る東さん。
「原材料は現地踏査を行ったうえで調達するなど、品質には大いにこだわっています。現在は、家庭用の料理スパイスとしても展開しており、料理上級者はもちろん、さまざまなメニューにチャレンジしたいと考える方にも選ばれているのではないでしょうか」(東さん)以下敬称略。
そんな『GABAN』ブランドの新シリーズとして加わったのが、『GABAN オーガニック』。誕生の背景には、お客様のニーズの多様化や地球環境への配慮といった、今の時代ならではの価値観がありました。
『GABAN オーガニック』はどのようにして生まれたか
※製品画像は、本記事公開時のものになります。
東さんによると、『GABAN オーガニック』の開発が決まったのは2020年のこと。国内外のオーガニック市場が年々広がっていく中でのスタートでした。
「世界のオーガニック食品売上は、2018年で約11.6兆円。一方、日本のオーガニック市場規模は世界で13番目とまだまだ小さく、今後も拡大が期待できます。また、多様化するお客様のニーズに対しても、オーガニックシリーズがひとつの答えになると考えました。昨今はSDGsをはじめとした地球環境保全への意識が高まり、取り組みが活発化していることもきっかけとなりましたね」(東)
開発にあたってまず課題となったのは、原材料の調達でした。そもそもオーガニックスパイスは、必要最低限の農薬の使用は許されていますが極力、農薬や化学肥料などの化学物質に頼らずに栽培されるもの。生産量は決して多くないうえに、産地も限られてくるため、「どこから持ってこようか」と、東さんも苦慮したそうです。
「それでも最終的には、ハウス食品グループの調達力を活かすことで解決。その後は、どこで製造するか、パッケージの材料をどうするかといったことを関連部署と詰めながら、無事に製品として完成させることができました」(東)
手間とコストをかけてでも、世の中がよくなる製品を提供したい
※製品画像は、本記事公開時のものになります。
『GABAN オーガニック』に使用されるのは、いずれも有機栽培されたスパイス。2〜3年以上、化学肥料や農薬の使用を基本的に避けた農地で栽培されるほか、生産から出荷までの工程に設けられたさまざまな条件をクリアし、有機JAS認証 を受けています。
「化学肥料や農薬を極力使わない栽培は、とても手間がかかるもの。たとえば、無農薬や減農薬では虫の卵が付着しやすくなることから、冷凍殺卵の工程を設けています。さらに生産規模も小さいため、コストも非常にかかるのが実情ですが、原料の無理な買いたたきなどは行いません。その分、価格は上がってしまうものの、持続可能な原料供給を実現するために、公正な取引を実施していくという理念をもって調達しています」(東)
このシリーズのもうひとつの特徴となるのが、紙製のパッケージ。これもまた、環境への配慮から採用されたものです。
「スパイスというとビンが主流ですが、便利な反面、環境保全の観点からすると負荷が大きくなるため、開発当初から紙製素材を検討していました。ただ、紙製では破れなどのリスクもあるほか、スパイスは吸湿しやすいため、品質を保つにはアルミ材の使用も必要。試行錯誤の結果、50%以上の紙材質を採用して”紙”のリサイクルマークも表示できるようになりました」(東)
そんな”紙”の質感を活かしたパッケージは、オーガニックを連想させるクラフト調のデザイン。シンプルでナチュラルな印象でありながら、一目で『GABAN』ブランドとわかる認識しやすさも特徴です。
「お客様が店頭で商品を目にされたときに、”オーガニック”商品であること、『GABAN』ブランドであることが伝わるようにと作成しました。当初は『GABAN』カラーである青を基調としたもの、スタイリッシュなものなど、さまざまな案がありましたが、最終的に3種のデザイン案に絞り込み、『GABAN』スパイスユーザーを対象にお客様調査を実施。結果、約80%の支持率を得たのがこのクラフト調デザインだったんです。このパッケージがもつ自然な風合いの心地よさを、多くのお客様に感じていただきたいですね」(東)
『GABAN オーガニック』で食卓からSDGsを
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ブラックペパーなど、需要の高いスパイスを中心としたラインアップの『GABAN オーガニック』。品種によってホールやパウダーが用意され、全23製品が揃っています。WFP(国連世界食糧計画)による『レッドカップキャンペーン』への参加も、こだわりのひとつ。売上の一部が寄付され、世界の子どもたちを救うための学校給食支援に使われることになっています。
「スパイスの主な産地は、貧困問題を抱える新興国。これらの国で暮らす方々にとって、少しでも助けになれば……という想いから、フェアトレードという観点で原料購入をするだけでなく、『レッドカップキャンペーン』の参加を決定しました。こうした社会貢献は、環境保全と共に企業として取り組むべき喫緊の課題です。
この認識をコンセプトに盛り込んだのが、『GABAN オーガニック』。こうした製品が増えていけば、最終的には地球の環境破壊に対する防波堤になっていくのでは、と思います。『GABAN オーガニック』も、日々の暮らしの中で地球や未来のことを考えるきっかけにしていただけるとうれしいですね」(東)
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執筆者プロフィール
東 英範
ハウス食品株式会社 食品事業本部 食品事業三部 チームマネージャー。1999年入社。開発研究所にて即席めん『うまかっちゃん』の開発に18年携わった後、スパイス開発を経て現職に。最近のお気に入りスパイスは、ミル付きでいつでもフレッシュな香りと辛さが味わえる『香り七味』。
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