ダイエット、在宅ワークのストレス発散、体力維持、はたまた気分転換の散歩として「ウォーキング」は日常にも取り入れやすいもの。ただ「歩くだけだから簡単」と、つい我流で行ってしまいがちですが、実はとても奥が深いんです。自分の目的に応じて効果をだすためには、姿勢や歩く時間、速さなどのコツが必要。ここでは目的別に効果をだすためのウォーキング法をAll About「ウォーキング・姿勢」ガイド長坂靖子さんにご紹介いただきます。
まずは日常に取り入れるメリットを紹介
日常生活を送る上で私たちは、多くの動作を行っています。食事、入浴、移動、家事…。その中で「全身の筋肉を動かす」動作の一つとして「歩き」をあげることができます。この「歩く」という動作、一日にどのくらい行っているのでしょうか?厚生労働省の「国民健康・栄養調査(平成30年)」では日本人の一日あたりの平均歩数は、成人男性が約7,000歩、成人女性が約6,000歩とされています。
「歩き」は、無意識に行っていたら単なる日常の動作ですが、フォームを意識して筋肉をしっかり使うことで運動の「ウォーキング」に変わります。そう、ちょっとポイントをかえるだけで運動量がアップするのです。
「ウォーキング」が健康に良いことはご存じの方も多いと思いますが、運動量をアップすることができれば、筋肉を鍛えたり、脂肪を燃焼させたり、心肺機能の向上などさまざまなメリットを得ることができます。では目的別のウォーキング法を見ていきましょう。
ダイエットまでいかなくてもという方に、体力維持におすすめのウォーキング
厚生労働省が推奨している、健康増進のための歩数は一日約8,000歩。身長、年齢、体力など体の状態に個人差がありますが、一日合計おおよそ80~90分程度の時間が目安です。ただ、体力維持には歩数、時間だけではなく良質な筋肉の維持も必要になります。
そのためには、筋肉にテンションをかけることが大切です。家事動作で歩いたとしても、体を丸めた姿勢のまま行うことが多く、背中の筋肉や下半身の筋肉を効果的に使うことができていません。
正しく筋肉を使うためには、姿勢と歩幅に意識を向けることが重要。通常無意識で歩いている際は、姿勢と目線がかなり下がって歩いていますので、以下のベースとなるフォームを参照して試してみましょう。
■体力維持のためのウォーキング(ベースとなるフォーム)
【姿勢を解説】
- ・あごを軽く引いて視線は水平に
- ・脚を後ろに蹴って体を押し出します。この時、足の指でしっかりと地面を押して体を前に出します。膝は伸ばした方がよいですが、痛みがでたり、違和感がある方は、軽く曲げてください
- ・上半身はまっすぐに背筋を伸ばして、腰が反りすぎないように腹筋と背筋でしっかりと支えましょう
- ・腕は力を抜いて引くことを意識、腕が体の前に行かないように!※1
※1 ポイントとして肩甲骨を寄せて肩の位置と、頭の位置が同一線上にあるように。(立った状態で、肩と耳と外くるぶしのラインが一直線になる姿勢で歩き始めるとよいです。この姿勢だと頭が前に行かない)
【歩幅を解説】
- ・足を自分の身長の-100センチ、もしくは肩幅と同程度に開きましょう
- ・つま先と膝は同一方向を向けかかとで着地。がに股や内股にならないようにしましょう
(注意)
最近は、ストレートネックや肩こり・腰痛などのトラブルを抱える方も多くいらっしゃいますので、体に痛みがでない範囲で行ってください。
皆が知りたいダイエットにおすすめのウォーキング
では、ダイエット目的で行うウォーキングはどうでしょうか。ダイエット目的の場合は、脂肪燃焼の条件といわれる以下の3つを満たすようにしましょう。
- ①より筋肉を使う(フォーム)
- ②心拍数を上げる(速度)
- ③より長い時間行う(時間)
ダイエットを目的とした場合は、心肺機能を高め、体を大きく動かすウォーキング方法になります。では姿勢と歩幅はどう変わるのでしょうか。体力維持のウォーキングに加えて、以下を意識して行ってみましょう。
【姿勢を解説】
- ・腕を90度に曲げてスタート、二の腕を引くことを意識する
- ・体力維持のウォーキングよりさらに強く脚を後ろに蹴って押し出すことを意識する
(注意)
無理に速度を上げると関節に負担をかけます。ひざの関節を滑らかに使うことを気にかけましょう。運動習慣がない方は突然行わず、はじめは週に3回を目標に、慣れてきたら回数や時間を増やしましょう。日常で運動習慣がある方は、ぜひ毎日行ってください。
■ダイエットウォーキングサンプルメニュー
朝ダイエットについての詳細はこちらの記事もご参照ください。
痩せスピードが加速!脂肪がメラメラ燃える朝ダイエットのすすめ
■最寄り駅より一駅多く歩く? 日常に取り入れやすい方法
また日常にうまく取り入れるためには、最寄り駅の一駅前から歩く方法があります。姿勢と歩幅を意識できていれば、効率的な時間の使い方といえます。例えば、一駅遠くまで歩いて(片道30分 朝晩実施で合計60分と仮定)、目的地まで遠回りしたりこまめに動いたり、エスカレーターを使わずに階段を利用したり(20分と仮定)これで80分歩いたことになります。生活の中の動作も含めて細切れでもいいので、今までのライフスタイルの中に「ウォーキング」を意識的に取り入れてみるとよいでしょう。
ストレス発散、趣味としてもおすすめリラックスウォーキング
趣味やストレス解消にもウォーキングはおすすめです。ウォーキングにはさまざまな効果がありますが、その一つに「リラックス効果」をあげることができます。呼吸を整えリズミカルに動くことによりリラックスホルモン(セロトニン)が出るといわれています。
例えば、仕事のアイディアが浮かばない時に、歩き回っていたらひらめいた!なんていう経験をした方もいらっしゃるのではないでしょうか。それは脳がリラックス状態だったことも関係しているのかもしれません。
趣味で歩く時はいつも同じルートではなく、違う道を歩いたり、自然の中を歩いたり場所を変えると、新しい発見があり歩くことをより楽しむことができます。また、ストレス解消をしたい場合は、まずは、深呼吸をして副交感神経を整えてからスタートするのもおすすめです。
リラックスウォーキングの場合は速度やフォームを気にする必要はありません。呼吸を整えて、自分のペースで歩くことが大切です。一つ重要なことをあげるとすれば「視覚」。歩いて目にしたものが心地よく脳に刺激を与え、自分の精神が落ち着くかを考えましょう。
目的に応じて簡単にできるウォーキング。体への負担も少なく、お金もかかりません。(スポーツウォーキングは、ウエアや専用シューズを購入する必要がある場合もある)運動習慣がない人でも、手軽に始めることができます。また歩く時間を決めてウォーキングを楽しむ場合は、生活のリズムを整えることもできます。ぜひ自身の目的にあわせて取り入れてみましょう。
-
執筆者プロフィール
長坂 靖子(ながさか やすこ)
ウォーキングトレーナーとして、講演会、執筆、テレビ、女性誌、企業コンサル等、美と健康をテーマに幅広く活動。代表を務める「日本ウォーキングセラピスト協会」は関東を中心に60カ所以上の教室を展開。室内で行うストレッチ教室はじめ、屋外で行うウォーキング教室とバリエーション豊かなカリキュラムにファンも多い。
※本ページの記載内容は記事公開時点の情報に基づいて構成されています。