テレワークが普及し、在宅ワークで通勤の必要がなくなったという方も多いのでは。通勤時間が減った分、もっと有効に朝の時間を使ってみたいですよね。そうすれば、ずっと閉じこもりきりでストレスが溜まりがちな自宅でのテレワークでも、もっと毎日を快適に気持ちよくすごせるはず!というわけで、朝の日課として、いわゆる「モーニングルーティン」を始めてみるのはいかがでしょうか。「モーニングルーティン」として取り入れるべき運動や食事、無理なく続けるためのコツを、専門家に教えていただきました。
テレワーク生活で活動量が減少、通勤時間の代わりに運動を取り入れよう
通勤のための移動が減ったのはもちろん、テレワークで日常生活における活動量は減りやすい傾向にあります。オフィスで仕事をしていた時は、トイレや会議室、ランチなど、自然と自席を離れて移動することも多かったでしょう。自宅でテレワークとなった今、ずっとパソコンの前に座ったままになり、気づいたら夕方までほとんど動かないまま一日が終わってしまったという方もいますよね。
改善のためにも、まずは意識して動くことが大切です。そして、「毎日の通勤」のように、毎日決まった行動を「ルーティン(習慣)」として取り入れると、日常に定着しやすくなります。
テレワークで通勤時間がなくなった分、朝の時間にゆとりが出てきたという方もいるのではないでしょうか?そんな朝の時間を有効に使い、運動不足を解消させ、しっかりと食事で栄養をとり、さらには一日を有意義に過ごせると心身ともにすっきりできそうですよね。
それでは、テレワーク時に取り入れたいおすすめの「モーニングルーティン」を早速ご紹介しましょう。
明日からでもできる!簡単に始められるモーニングルーティン
<毎日同じ時間に起床する>
テレワークだからといって夜更かししたり、始業ぎりぎりの時間に遅く起きたりせず、就寝・起床時間を一定にし、しっかり睡眠をとると朝もスッキリします。
<寝起きにセルフストレッチ>
寝起きのストレッチは、活動モードへと変換するスイッチの役割があります。寝ている間は横になった状態が長く続いているので、筋肉がこわばったり、体の一部に負担がかかったりしがち。テレワークでの運動不足解消のためにも、寝起きのストレッチで体を軽く動かしましょう。足首を前後に動かすふくらはぎのストレッチは布団の中でもでき、次第に体も温まります。また、膝を抱えてお尻を伸ばし、ゴロゴロと動く背中のストレッチなどは、寝転がっていてもできたりするのでおすすめです。
<窓際で背伸びストレッチ>
起床時に窓際でカーテンを開けて日差しを浴び、そこで背伸びストレッチをしましょう。テレワークで日差しを浴びる機会も減少しがちなので、しっかりと日差しを浴びると、体内時計もリセットされます。両腕を耳の脇に付けて上にしっかり伸びてから、体を軽く横に倒してわき腹を伸ばすとよりよいでしょう。さらに軽く体をひねると腸が刺激され、お通じに影響するため朝からスッキリ過ごせます。また、胸を大きく広げるように後ろに腕を伸ばすと、自宅だと人目が気にならないためパソコンや机に向かって前かがみ姿勢が続きがちで丸くなっている背中や胸、肩が気持ち良くのびていくのを感じられます。
<朝散歩>
時間に余裕があるのであれば、新鮮な外の空気と柔らかな日差しを感じられる、朝散歩がおすすめです。テレワークで休憩時間に家から出るタイミングを計りにくいという方も、仕事前の朝なら出かけやすいでしょう。散歩の場所としては、周囲を気にせずに歩ける人が少ない公園や、川沿いなど自然があるところがいいですね。実は、お昼の休憩時間に運動するよりも、朝のほうが運動するのに適しているのには理由があります。朝は一日の始まりなので、このタイミングで体を動かすと、より良いコンディションで活動が始められます。また、脳はさまざまな情報処理を行うため、午前中は思考がクリアであり、夕方に向かうにつれて疲労してくるといわれています。朝に軽く運動を行うと脳を活性化させ、学習効果を高めるという研究結果もあるので、仕事の効率を高めるためにも良い習慣です。
<ながら運動>
テレワークではあるけれど朝散歩ができるほど時間が取れない時や雨の時は、ながら運動がおすすめです。歯磨きは皆さん毎日必ず行うものなので、歯磨きしながらカーフレイズというふくらはぎの運動(つま先立ちでかかとの上げ下げ運動)をしてみるのはいかがでしょうか。コーヒーを入れている時間を待ちながらのスクワットなどもいいですね。小さな活動の積み重ねでも活動量がアップするので、運動効果が期待できます。
朝に体を動かすと目覚めもスッキリして、何より「今日一日がんばろう」というスイッチが入ります。特にテレワークでリアルなコミュニケーションも希薄になり、気持ちも沈みがちという時にはぜひ取り入れてみてください。運動には心身のリフレッシュ効果も期待できるので、時間の許す範囲でぜひ行ってもらいたいです。朝散歩の後にはシャワーを浴びると、よりスッキリしますよ。
<しっかり朝食をとる>
出勤時間を守るため、少ない品数や単品、簡単なもので朝食を済ませがちだったという方も多いのでは。朝の時間ができた分、頭と体を働かせるためのエネルギー源を補給できるような、バランスのよい食事を心がけましょう。しっかり朝食をとる時間を確保したいので、私は夜のうちにある程度、朝ごはんのおかずなどを準備しています。お味噌汁やスープを多めに作っておけば翌朝温めるだけですし、果物や乳製品などの調理不要な一品をプラスするだけでも、栄養バランスがぐんとアップ。無理のない範囲で、少しずつ食事内容を見直してみてください。
このように、朝食も運動も取り入れるためには、まずは自分にあった朝の時間割を作ってみてください。生活リズムが崩れがちなテレワークでも、生活リズムを整えやすくなるからです。
例えば、朝9時から仕事を始めると決め、それまでにやるべき家事などを逆算して手をつける。すると起床時間も自然と決まり、朝ごはんを食べずに過ごすといったこともなくなります。健康になれるかどうかは、モーニングルーティンだけに左右されるものではありませんが、少なくとも生活の乱れによって起こりやすい睡眠不足や、それに付随する心身の不調は整えられるのではないでしょうか。
とはいえ、モーニングルーティンと一言でいっても、人それぞれの生活によって少しずつ違ってくるものです。がんばりすぎてストレスを溜めてしまわないよう、無理のない範囲から始めてみてください。自分のペースで少しずつ行うことが重要です。
モーニングルーティンを無理なく続けるためには
最後に、生活のリズムを整えるのにも役立つモーニングルーティンを続けるためのコツをご紹介します。
いつも行っている習慣と、運動をセットで考えましょう。例えば、いつも朝ドラを見るのであれば、テレビの前に座ってではなく、軽く運動を行いながら見る、ゴミ出しをした後に、そのまま近所を一周歩いて帰る、など。お子さんやご家族と一緒に軽い運動を行うというのもモチベーションアップにつながっていいですね。
よりがんばれるのであれば、仕事の合間の運動も取り入れたいですね。家の中で仕事をしている時も、1時間に一度は休憩をとり、そのタイミングで軽く運動をしましょう。その場でスクワットするのも、背伸びをして深呼吸を繰り返すのでも、立ち上がって動くことが大切です。ずっと働きっぱなしだと集中力も続かなくなるので、仕事の効率を高めるためにも体を動かすことが重要です。
大切なことは、完璧主義になりすぎないということ。実施できない日があってもめげず、また次の日にやってみようとゆるく考えたほうが、かえって長続きしやすいです。まずは、「体を動かすと気持ちいいなぁ」と自分自身が実感できると、自然と続けられるようになると思います。とにかく経験してみることが何よりも重要なので、明日からまずは何か一つ取り入れてみてはいかがでしょうか。
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執筆者プロフィール
西村 典子(にしむら のりこ)
日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー、NSCA公認ストレングス&コンディショニング・スペシャリスト。20年以上にわたり高校生・大学生を中心にスポーツ現場でのトレーナー活動のほか、一般を対象としたストレッチ講習会、トレーニング指導、セミナー開催、一般雑誌・専門誌・ネットメディアで執筆するなど、健康づくりに役立つ、実践しやすい運動のコツを分かりやすくアドバイス。
取材・文/羽生田由香
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