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0からまるわかり、親子で知りたい、食品ロス

0からまるわかり、親子で知りたい、食品ロス

食品ロスとは、本来食べられるのに捨てられている食品のこと。「そんな、もったいない……」。でも、どうしても野菜を使いきれなかったり、残り物を古くしてしまったことありますよね。そして、その「どうしても」は、家庭でもスーパーでも農家でも同じなんです。食品ロスはどのくらい、なぜでてしまっているのでしょうか。食品ロスについて学び「もったいない」の気持ちを育てましょう。ご家庭での原因を見つけて、食べきる・使いきる方法と一緒にご紹介しますので親子でぜひ実践してみてくださいね。

え、日本では1日に1人お茶碗1杯分を捨てている?

まず日本ではどれくらいの食品ロスがでているのでしょうか。環境省の最新の発表では年間の食品ロスは612万トン。これは国民1人が毎日お茶碗1杯分の食べ物を捨てている計算になります。意外と少ないと感じますか? しかし、国民全員が、しかも毎日出し続けていたら莫大な量になります。なんとこの612万トンというのは、お米の年間生産量に換算すると約78%に当たる量(※1)。さらにいうと、世界中で飢餓に苦しむ人々に向けた世界の食糧援助量(平成30年で年間約390万トン)の1.6倍に相当するのです。

コンビニのお弁当の売れ残りや、飲食店の食品の仕入れすぎ、外食の食べ残しなどでロスが多くでていると思う方もいらっしゃるかもしれませんが、612万トンのうち、企業などから出る食品ロスは328万トン。家庭から出る食品ロスが284万トンと、半分近くは家庭からでています。(※2)、実は私たちの工夫次第で食品ロスの量を減らすことができるんです。

リンゴキッド

食品ロスの半分近くは、家庭内からでているんだね!でも最新の推計の2017年度の数字は、2012年からの比べると一番食品ロスが少くなっているんだ。これからも、消費者も企業も、一丸となって食品ロスの量を減らしていくようがんばろう!

どうして食品ロスが、環境問題につながるの?

さらに食品ロスは、地球規模の問題にも影響しています。世界では9人に1人が栄養不足と考えられています。それだけではありません。世界中の農地では食物をつくる際に土地が必要ですし、水や多量のエネルギーを使います。また特に水分の多い食品は廃棄の際にもCO2を排出する上、製造にも廃棄にもコストがかかります。食品ロス、という一つのことがらが、広い目で見るといろいろな問題にもつながっていきます。そのため、私たちが日々出している食品ロスを減らす工夫が求められているのです。

一方で世界の食品ロスは、FAO(国連食糧農業機関)が2011年にまとめた推計で、食料の約3分の1に当たるとしていますが、これは非常に大まかな数値で、現在はFAOと国連環境計画が共同でより詳しい現状把握に向けた調査を検討しているそうです(※3)。
また、先進国と発展途上国によって食品ロスの事情は異なります。先進国の方が外食や家庭でのロスが多く、一人ひとりの努力で食品ロスを減らしていくことができると考えられています。

【考えてみよう!】(解答はページの一番下を見てね)

Q.日本といえば食料自給率があまり高くなく輸入に頼っている国の一つ。廃棄食料は612万トン、では輸入している量はどのくらいでしょうか?

※1 消費者庁HP「食品ロスについて知る・学ぶ」より。日本の食品ロスの量は612万トン(平成29年度推定値)。米の年間生産量は農林水産省HP「農業生産に関する統計」より平成29年度の生産量
※2 環境省「我が国の食品廃棄物等及び食品ロスの発生量の推計値(平成29年度)」より)
※3 FAO「世界食料農業白書2019年報告(要約版)」より)

食品が私たちの手元に届くまでの食品ロス

では、実際に食品ロスを減らすにはどのような工夫をしていけばいいのでしょうか? まず先に、食べ物が私たちに届くまでの工程を見てみましょう。作物・製品の生産、加工、流通など様々な段階でも食品ロスは発生します。そのため生産者や企業など、それぞれが努力をし、ロスを減らそうとしています。

「食品をつくる時」 ハウス食品グループの取り組み
リンゴキッド

ハウス食品とハウスウェルネスフーズでは、2021年4月から賞味期限の表記を「年月日」から「年月」に順次変えるような取り組みも進めているよ。期限をやや緩やかにすることで食品ロスの削減につながることが期待されているんだ!

他にも賞味期限内であるにもかかわらず一般市場に流通できない食品などを集めて、必要な人に配る「フードバンク」という取り組みを支援しているよ。

食品ロスを減らすにはどうしたらいい?家庭で工夫できること

わざと食品ロスを出す人はいないはず。家庭での食品ロスを減らすため、私たちが工夫できることを一覧にまとめました。親子でこの表をチェックして、どんな工夫ならはじめられそうか、ついやってしまっていたことなどを話し合ってみるのはいかがでしょうか。

■買い物をする時

私たちができること 工夫ポイント
買い物に行く前には冷蔵庫をチェック ちょっと残った肉や野菜などを使いきるため、まず家にある食品から献立を考える癖を。残っている食品からどんなものがつくれるか親子で一緒に考えてみましょう。 自宅で残り具合を確認しながらネットスーパーで買うのもおすすめ。ついつい買いすぎてしまうのを防止しやすくなるでしょう。
レシート読み取りアプリを活用して、外出中でも最近買った物をチェックできるように 仕事帰りの買い物などが多く冷蔵庫を確認できない場合は、レシート読み取りアプリの導入で見える化を。アプリによっては夫婦で買い物の内容の共有もできますよ。
手前から商品を取るのも立派な食品ロスを減らす方法 消費期限が迫った商品は、お店が破棄したりメーカーに返品したりして、食品ロスの要因に。「すぐ使う商品なら棚の奥に並んでいる消費期限が長いものを」ではなく、手前の物からとっていいという意識づけをしましょう。卵や牛乳でよくやっていませんか?

■買った物を保存・調理する時

私たちができること 工夫ポイント
それぞれの食品に記載された適切な保存方法で保存し、消費期限を忘れずに食べきる たとえ賞味期限前でも、間違った保存方法では食品が劣化し、おいしく食べられない、あるいは傷んで捨ててしまうといった可能性があります。注意事項をきちんと読んで保存しましょう。特に開封をすると消費期限が早まる食品は注意。
買ってきたら、すぐ使わない分は子どもと一緒にフリージングを そのうちやろう、週末にまとめて、など思っているとなかなか手がつかないもの。買ってきた日の食事の準備と一緒に、残った肉や野菜を小分けして冷凍・乾燥させるなど、「ついで」にやっておきましょう。子どもと一緒に役割分担をしてぜひ取り組みましょう。
家族で食べきれる量をつくるのが基本。それでも残ったら、リメイクやアレンジレシピも活用 家族の年齢、体調なども考え、食べきれる量をつくるようにしましょう。
いただき物などで食べきれない食品はフードバンクに寄付する方法も 買いすぎた物、自宅で食べきるのが難しいいただき物などのうち、消費期限が比較的長めの物はフードバンクへの寄付など、社会で役立ててもらうことも考えましょう。
フードバンクは個人でも宅配便で送ることで寄付が可能です。注意点や詳しい送付先、よくある質問などはコチラ から。
3か月に1回はパントリーチェックでローリングストック 生鮮食品の多い冷凍室や野菜室はもちろん、長期保存が利く食品を置いたパントリーのチェックを忘れずに。3カ月に1回くらいは期限を確認して、期限の近いものから使っていきましょう。
野菜は皮も使うようにしよう 実は野菜によっては皮でも食べられたり、使える箇所があります。栄養価が高い食材もありますよ。野菜の皮のおいしい食べ方はコチラ から。
リンゴキッド

期限がせまった食材は、まとめてカレーにするのもおすすめ。豆腐やキャベツ、もやしなどあまりがちな具材も、スパイスがおいしくまとめてくれます。下のリンク先のレシピも参考にしてみてね!

もっとカレーだからできることプロジェクト

表でお伝えしたように、食品ロスのほとんどはつい買いすぎたり、消費期限を忘れていたりといった生活習慣が原因。もし「うちは食品ロスが多いかも」と感じるようなら、一度、買い物や食品の保存、調理の癖を見直してみましょう。
また、レシートの読み取りアプリやリメイクレシピなどを使えば、さほど手間をかけずに買い物が見える化できたり、調理法を教えてくれたりと、食品ロスの防止に取り組みやすくもなっています。これを使って「あるのに買ってしまう食品」「結局余らせてしまう食品」を見つけ、できるだけ気づくように意識すれば、徐々に家庭の食品ロスも減らせるのではないでしょうか。

A 【考えてみよう】

厚生労働省「平成26年度 輸入食品監視統計」によるとなんと3,241万トン。日本国内の食べ物の約6割を輸入に頼っている計算になります。もちろん日本で作っている食料もあるけれど、少しでもロスを減らした方がいいでしょう。


※文中リンゴキッドの吹き出しは、編集部追記
リンゴキッド

©やなせたかし/やなせスタジオ

※本ページの記載内容は記事公開時点の情報に基づいて構成されています。

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