カレー専門店でカレーを食べた後に「チャイ(マサラチャイ)」を飲むのが習慣という人も多いのでは? また、寒い季節になると、身体があたたかくなる飲み物がほしくなることもありますよね。そこで今回は、インド・スパイス料理研究家の香取薫さんに、本場のチャイと、スパイスだけで作る冬におすすめのスパイスティーの作り方を教えていただきました。
まずは基本から!スパイスを使った「マサラチャイ」
まずご紹介するのは、スパイスから作る基本の「チャイ(マサラチャイ)」。
日本では、スパイスを使ったものも使っていないものも一言で「チャイ」と呼ぶことも多いですが、ヒンディー語では甘く煮出したミルクティーを「チャイ」、それにスパイスの香りが加わったものを「マサラチャイ」と呼びます。使うスパイスの種類は決まっておらず、家庭やお店によって違いますが、今回はクローブ・カルダモン・ブラックペパー・しょうがを使いました。もちろん全部を使わなくても、この中から「カルダモンとブラックペパー」など、あるものの組み合わせだけでもOK。
ただし、パウダーのスパイスだと、香りが飛んだり、飲んだ時に粉っぽくなったりするので、いずれもパウダーではなく、ホールスパイスを使って煮出しましょう。材料さえ準備すれば、お店のような本格的なチャイが簡単にできます。
<材料(2杯分)>
- ・茶葉(セイロンティー、ケニアティー、アッサムティーなどの細かい茶葉の紅茶)...小さじ2杯強
- ・しょうが...半かけ(潰したもの)
- ・GABAN クローブ ホール...2個
- ・GABAN カルダモン ホール...2個
- ・GABAN ブラックペパー ホール...6個
- ・水...ティーカップ8分目
- ・牛乳...ティーカップ8分目
- ・砂糖...小さじ2〜4(お好みで調整)
<作り方>
しょうがはまな板の上で、すりこぎや硬い瓶の底などを使ってつぶします。カルダモンは丸い側(尖っていない側)からサヤを割いて中身を出します。煮出すときはサヤごと使うので捨てないように。
小鍋に水をティーカップ半分ほど入れて(分量外)、しょうがとスパイスを入れ火にかけます。
沸騰したら弱火にして茶葉を入れ、ふやかすようなつもりで煮ましょう。水分が無くなりそうになったらティーカップ8分目の水を入れてください。
さらに沸騰したら、ティーカップ8分目の牛乳を入れます。
(濃いチャイにしたいときは牛乳を入れる前に弱火で1分ほど煮てください)
再沸騰したら砂糖を溶かして、茶こしでカップに注ぎ分けましょう。インド式の場合、砂糖はひとり分につき小さじ2〜3が一般的ですが、お好みで減らしてください。
<ポイント>
煮立てる時は、必ず先に入れた水を沸かしてから、牛乳を足しましょう。牛乳を先に入れてしまうと、たんぱく質が茶葉をコーティングしてしまい、美味しくなりません。
茶葉はレシピにもある通り細かい茶葉で渋めのものが向いています。チャイにも数種類ありますが、今回はインドの路上で飲むようなストリートチャイのように、しっかり煮出して渋くする観点から、セイロンティー、ケニアティー、アッサムティーなどをおすすめしています。ダージリンやヌワラエリヤを使ってしまうと意図したものになりません。ティーバッグを使う場合は、そのまま使うのではなく、中の茶葉を取り出して使いましょう。
お砂糖をたっぷり入れるのがインド流。最低小さじ1杯ずつ、好みで2杯、3杯と。砂糖を入れることでスパイスの味も際立ちますよ。インドは暑い国なので、糖分が疲れを取るという効果もあるんです。また、夏場はしょうがを入れずにカルダモンをメインで作るのもオススメです。
今回使ったスパイス、カルダモンには甘くさわやかな香味、ブラックペパーは野性的な香りとピリリとした強い辛味、クローブは甘い香りとスパイシーな刺激、しょうがは皆さんおなじみのあの風味や刺激がありますが、一緒に煮出すことで、香りや刺激が渾然一体となった深みのある味わいが生まれます。
今回ご紹介した基本の作り方では物足りないという方は、弱火でグツグツ煮込んで濃くしてみるのもよいでしょう。お好みの濃さを探してみてください。
チャイをさわやかに味わう「ミントチャイ」
先ほどはスパイスがきいた「マサラチャイ」を作りましたが、次はスパイスを使わないプレーンな「チャイ」を作り、仕上げにミントを加えてさわやかに仕上げる「ミントチャイ」をご紹介しましょう。
<材料(2杯分)>
- ・茶葉(セイロンティー、ケニアティー、アッサムティーなどの細かい茶葉の紅茶)...小さじ2杯強
- ・ペパーミント...葉先を摘んだ状態でカップに1/3くらいの量
- ・水...ティーカップ8分目
- ・牛乳...ティーカップ8分目
- ・砂糖...小さじ2〜4(お好みで調整)
<作り方>
小鍋に水をティーカップ半分ほど入れて(分量外)、火をつけます。沸騰したら茶葉を入れ、ふやかすようなつもりで煮て、水分が無くなりそうになったらティーカップ8分目の水を入れます。再度沸騰したら、ティーカップ8分目の牛乳を入れましょう(濃いチャイにしたいときは牛乳を入れる前に弱火で1分ほど煮る)。
ここまでは、先ほどのマサラチャイにスパイス(マサラ)を加えないだけで工程は同じ、プレーンなチャイの作り方です。
牛乳を加えた後、再沸騰したら砂糖を溶かし、ミントの葉を鍋に入れて蓋をして、1分蒸らしたら出来上がり。茶こしで注ぎ分けましょう。インド式の場合、砂糖はひとり分につき小さじ2〜3が一般的ですが、お好みで減らしてください。
<ポイント>
基本の作り方は最初にご紹介したマサラチャイと同じですが、スパイスは入れず、最後にミントを加えることでフレッシュな香りのミントチャイに仕上がります。
ミントは生のものを使います。ミントの代わりにバジルやレモングラスなどでもよいでしょう。また、ミントを煮出してしまうと味が飛ぶので、チャイが沸いたらミントの葉を入れ、フタをして、すぐに火を消します。
スパイスだけで驚くほど美味しい!冬に飲みたい「シナモンジンジャーティー」
最後にご紹介するのは、茶葉を使わずスパイスのみを煮出して作るシナモンジンジャーティー。体が温まり、冬にぴったりの味わいです。もちろん冷まして飲むのもおいしいです。
<材料(2杯分)>
- ・GABAN シナモンスティック...2本
- ・しょうが...1かけ
- ・水...400ml
<作り方>
シナモンは1本を手で3つくらいに折り、しょうがはまな板の上ですりこぎや瓶の底などで叩いて潰します。
400mlの水にシナモンとしょうがを入れて火にかけ、沸騰したら弱火にして5分(濃いお茶が好きなかたは10分)煮出したら出来上がり。茶こしでカップに注ぎ分けましょう。
<ポイント>
アーユルヴェーダの治療医院でオイルマッサージの施術後に出てくるお茶としても親しまれていますが、こうして家庭で簡単に作ることができるんです。
シナモンを煮出すと、茶葉を入れなくても自然の薄茶色が抽出されて、自然の甘みと少しの辛味が出てきます。ホットで飲むと甘みが強く感じられて砂糖なしでも十分に甘みを楽しむことができる真冬向きのスパイスティーです。
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執筆者プロフィール
香取 薫(かとり かおる)
1985年、ボランティアで訪れたインドでスパイス料理に魅せられ、本格的に研究を始める。さまざまな地方を歩き、主婦たちから本場の家庭料理を習う。料理教室は1992年創業。2007年から南インド料理コースを開設。これまで数多くのカレー店主、料理インストラクターを輩出する。
プロフィール
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