高カロリーな食事はダイエットの天敵。だから大好きなお肉も我慢している……という方に朗報です!実は、ポイントを押さえれば、ダイエット中もお肉を食べてOKなのです。ダイエット中のお肉との付き合い方について、管理栄養士の浅尾貴子さんに教えていただきました。
実はダイエットの味方!? お肉がダイエットに効果的な理由
「お肉には、摂りすぎると脂肪に変わってしまう糖質が含まれず、私たちの体をつくるうえで必要なたんぱく質や、免疫細胞の材料となるアミノ酸、健康と美容に欠かせないビタミン類が豊富に含まれています。とくに女性は筋肉が少なく、脂肪を燃やす基礎代謝が男性と比べて低い傾向にあるので、筋肉のもととなるたんぱく質をきちんと摂らないとカロリーを消費しにくくなってしまうのです。お肉からたんぱく質をバランスよく取り入れれば、むしろダイエットの味方になる食材なんですよ」
さらに運動とお肉を取り入れた食事をあわせれば、筋肉がつきやすく、基礎代謝もあがり脂肪燃焼につながるとのこと。ただし、ダイエットに向いているものとそうでないものがあるそう。ではダイエットに向いているお肉の部位にはどんなものがあるのでしょうか。「ヒレ肉やかた肉、もも肉など、脂身が少ない部位は低カロリーの傾向があります。またやや増減はありますが、たんぱく質は部位に関わらず多く含まれているといえるでしょう。注意したいお肉としては、とり肉。皮に脂が多く含まれているため、皮つきか皮なしかでのカロリーの増減に気をつけてください」
<お肉の種類・部位別のカロリーとたんぱく質> お肉100gあたり ※1
- ・和牛・かた・脂身つき-生(286kcal、たんぱく質17.7g)
- ・和牛・もも・脂身つき-生(259kcal、たんぱく質19.2g)
- ・和牛・ヒレ・赤肉-生(223kcal、たんぱく質19.1g)
- ・ぶた・大型種・かたロース・脂身つき-生(253kcal、たんぱく質17.1g)
- ・ぶた・大型種・もも・脂身つき-生(183kcal、たんぱく質20.5g)
- ・ぶた・大型種・ヒレ・赤肉-生(130kcal、たんぱく質22.2g)
- ・にわとり・若鶏・むね、皮つき-生(145kcal、たんぱく質21.3g)
- ・にわとり・若鶏・むね、皮なし-生(116kcal、たんぱく質23.3g)
- ・にわとり・若鶏・もも、皮つき-生(204kcal、たんぱく質16.6g)
- ・にわとり・若鶏・もも、皮なし-生(127kcal、たんぱく質19.0g)
- ・にわとり・若鶏・ささ身-生(105kcal、たんぱく質23.0g)
※1参考:日本食品成分表
自宅でできる!お肉のカロリーを減らす、ヘルシー調理法
ダイエット中にお肉が食べられるということがわかっても少しでもカロリーを抑えたいのが本音ですよね。お肉料理をヘルシーに仕上げる調理のコツを教えていただきました。
「料理の際にお肉のカロリーを減らしたいなら、まずはいかに脂を落とすかがポイント。下ごしらえとしては、皮や脂肪を取り除くのが基本です。そしてじっくり焼いて脂を落とすこと。焼くことで落ちた脂や、加熱に使った油をお肉そのものが吸収することはありませんが、お肉の周囲にまとわりついたり、調味料に混ざるためお皿に盛る前にできるだけキッチンペーパーで拭く、付け合わせの野菜は拭いた後に炒めるといったひと手間も重要です。また、脂を落とすという意味では、フライパンよりも魚焼きグリルがおすすめ。フライパンだとケアをしても鍋に残った脂を一緒に食べてしまいますが、グリルの場合は溶け出した脂がそのまま下に落ちてよりヘルシーになります」
どのくらいまでOK?1日に食べても良いお肉の量
お肉の部位を選ぶことや、調理法によってダイエットの味方となるお肉。とはいえ、もちろん食べ過ぎは禁物。具体的には、1日にどれくらい食べても良いのでしょうか?
「現在の栄養学的な観点から、1日のお肉の適量は一般的な体重の成人女性で約100〜150gが上限です。1日に100〜150gというと少ないと思うかもしれませんが、主成分であるたんぱく質は食品によって質が違うので、お肉だけから摂るのではなく豆類、乳製品、魚とバランス良く摂取するのが理想的だからです。また、お肉の種類によってもたんぱく質やアミノ酸の種類、ビタミン・ミネラルといった成分の量にそれぞれ違いがあるため、毎日鶏肉だけを食べるというように偏るのではなく色々なお肉を食べることが大事です」
管理栄養士が選ぶ!ダイエット中におすすめの肉料理3選
ここからは、ダイエット中にお肉を食べたくなった時におすすめの肉料理をご紹介します。自宅で、外出先で、メニュー選びに迷った際はぜひ参考にしてみてくださいね。
ローストビーフ
もも、ランプといった脂肪の少ない赤身部分を使うことが多いローストビーフは、低カロリーかつ、脂肪燃焼効果が期待できるL-カルニチンを含んでいるのが魅力。輸入牛もも肉150gあたり245kcalほどですが、バターやサワークリームといった濃い味のソースを合わせるとカロリーが高くなってしまうので、わさび醤油などでシンプルに食べるのがおすすめです。
豚の生姜焼き
豚もも肉150gあたり245kcalほど。さらに糖質の代謝を促してくれるビタミンB1が豊富。生姜と合わせることで血行促進にもなり、めぐりやすい体づくりのサポートをしてくれます。調味料とからんでしまうのでロース肉は避け、もも肉を使ってください。タレを甘くすると糖質が多くなるためNG。できるだけ甘みを控えるのがポイントです。
とりのから揚げ
から揚げ調理は想像よりも吸油量が少なくてすみます。とり肉皮つき1個分68kcalほどに対して、小麦粉をまぶして揚げた、から揚げ1個分は78kcal程度。※2 調味料が多いと油はねすることと、吸油量が増えてしまうため、下味をつけた後の余分な調味料を拭き取って、調理後もしっかり油切りをしましょう。また卵などのつなぎは控えてください。
※2参考:女子栄養大学出版部『調理のためのベーシックデータ』
カロリーを気にして、つい偏食になりがちなダイエットですが、健康的に痩せるためにはバランスの整った食事が不可欠。意外にもがっつり食べられそうなメニューもあるので、しっかりお肉も取り入れて、理想のボディを手に入れましょう!
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執筆者プロフィール
浅尾 貴子(あさお たかこ)
管理栄養士歴23年。「栄養学の基本知識を大切にした上で、ダイエッター個人のライフスタイルに合わせた、より実現可能なアドバイスを行う」が信条。食べ物のカロリーや栄養バランスに関するアドバイス、美容や健康のアドバイザーや女性誌やコラムの執筆業として活躍中。
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