「健康のために野菜を食べなきゃ」と思っていても、じつは調理法や選び方によっては、せっかくの栄養素がしっかり摂れていないこともあるのだとか。そこで、今日から使える「野菜の栄養素を無駄にしないための豆知識」を、お教えしましょう。
1.実は赤ピーマンの方が栄養価が高い!
ビタミン豊富な野菜ピーマンですが、実は赤ピーマンやパプリカの方が栄養素を豊富に含みます。これは、緑色のピーマンは未熟な段階の果実を収穫しているのに対し、赤ピーマンやパプリカは成熟した果実であるため。食感や味わいもそれぞれ違いますが、栄養価も違うのです。
緑色のピーマンのビタミンC量は100gあたり76mgですが、赤ピーマンは170mgです。また、緑色のピーマンのβ-カロテン量は400μgですが、赤ピーマンは940μgで、どちらの栄養素も赤ピーマンの方が2倍以上多く含んでいるのです。
※日本食品標準成分表2015年版(七訂) より
2.大根おろしは食べる直前にすりおろすとよい
大根はすりおろすと、辛み成分の「イソチオシアネート」が作られます。この成分は大根そのものにはなく、すりおろすことで細胞が壊れると、はじめて生成されるのです。
イソチオシアネートは、生活習慣病の予防に役立つといわれています。でも、すりおろしたら時間の経過とともに減少するので、食べる直前にすりおろすのがおすすめです。また、葉に近い部分より、根の先端部分の方に多く含まれます。
3.ほうれん草は、1分以上茹でないように
ビタミン類や鉄などのミネラルが豊富なほうれん草ですが、アク取りのための茹で時間が長くなると、その分熱に弱いビタミンCの損失量が多くなるため、茹で時間は1分を目安にしましょう。
1分茹でたときのビタミンCの残存率は、約74%程度。でも、3分茹でると約48%、5分茹でると約40%まで失われます。
4.ジャガイモは茹でずに蒸すべし
ビタミンCやカリウムが豊富なジャガイモですが、これらの栄養素は水に溶けだす性質があるので、グツグツと茹でてしまうと栄養素が水に流出してしまいます。カレーなど煮汁も食べる料理であれば、それでもよいかもしれませんが、そうでない場合おすすめは皮つきのまま蒸すこと。そうすれば水溶性の栄養素の流出を防げますし、やわらかくなった皮はむきやすくなります。
40分蒸してもビタミンCは約74%、ビタミンB1、B2は約96%残ります。
5.にんじんは、皮付きのまま切って油で炒めるとよい
にんじんに豊富に含まれるβ-カロテンは、実は吸収率が低い栄養素。生で食べると吸収率は10%程度にしかなりません。でも、なんと油と一緒に摂ると吸収率が60%程度まで上昇するのです。
また、β-カロテンは皮の下に特に多く含まれるので、皮つきのまま(気になる方はピーラーなどで薄くむいて)油で炒めるのがおすすめです。
6.ショウガは加熱して摂るのがおすすめ
ショウガには体を温める働きがあることはよく知られていますが、それは、血行を促進する辛味成分・ショウガオールの働きによるものです。このショウガオールは加熱すると増えるため、生のまま食べるのではなく、加熱して摂るのがおすすめ。
また、ショウガオールは皮に近い部分に多いので、皮はむかずにそのまま調理するのが基本です。
7.ごまはすりおろして使うべし
ごまは種皮が固く、粒のまま食べても栄養素を吸収しにくいため、そのまま食べてもせっかくの栄養素をムダにすることになります。でも、ちゃんとすりおろせば種皮が壊れ、栄養素を吸収しやすくなるのです。市販の「すりごま」を買ってきてもOKですが、家で食べる前にすった方が、圧倒的に香りがよいのでおすすめです。
最近は力を入れる必要がなく、すり加減が調節できる電動のごますり器も、いろいろなメーカーから発売されていますね。
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執筆者プロフィール
五十嵐 ゆかり(いがらし ゆかり)
管理栄養士、料理研究家。グルテンフリーや減塩でも美味しく作れる料理のコツなど、日々の暮らしに取り入れやすい健康レシピを提案している。新聞社の医療サイトでの予防医療に関するレシピ連載(2012年~)をはじめ、企画、レシピ開発、商品開発、執筆、講演、メディア出演、イベント出演、料理教室など、多方面で活動中。
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