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日本の「野菜室」はここまで進化していた!家電のプロが語る冷蔵庫の選び方(後編)

日本の「野菜室」はここまで進化していた!家電のプロが語る冷蔵庫の選び方(後編)

前編では、「野菜室」の意味や、冷蔵庫に入れる野菜・入れない野菜の違いなどをご紹介しましたが、後編では各メーカーがこだわる最新の野菜室情報や、野菜にまつわる「冷凍」の進化、そして、実際にどんな機種を選べばよいのかまで、家電コーディネーターの戸井田さんに教えていただきました。

日本の「野菜室」はここまで進化していた!家電のプロが語る冷蔵庫の選び方(前編)

成長させる?成長を止める?各メーカー野菜室最新事情

各メーカーが冷蔵庫や野菜室の技術を発展させる中で、近年の野菜室をめぐる進化で便利になったこととしては、どんな点が挙げられるでしょうか。

戸井田さん「野菜室の湿度が高くなり、昔のように野菜を新聞紙にくるんだり袋に入れたりせず、そのまま野菜室に置けばよくなっていることがあります。また、野菜や果物の熟成を促す『エチレンガス』を発生させる食品と一緒に保存してはいけない、というのが以前は定説でしたが、日立の野菜室はエチレンガスを分解して野菜の鮮度維持に適した炭酸ガスに変えるなど、大きな進化を遂げていると言えます」

ここで、各メーカーの野菜室の特徴をいくつか見ていきましょう。

戸井田さん「各社、野菜室には本当に力を入れています。面白いのは、野菜の鮮度を保って長い期間保存するという、同じ"頂上"を目指しているのに、それぞれに通り道・考え方が違うことです」

たとえば三菱電機の野菜室は、野菜を「成長させる」という考え方。密閉構造で湿度を保ちつつ、3色のLEDを1日の光のサイクルに合わせて照射することで、野菜が野菜室に入っている間も光合成し、成長するようにしているそう。

戸井田さん「水分と光で成長させることで、枯れない・衰えないというだけでなく、たとえばキャベツであれば緑が濃くなり、栄養価もアップするといったデータがあります」

それとは反対に、野菜を眠らせて成長を止めるという方法をとっているメーカーも。日立の冷蔵庫は、野菜を眠らせて成長しない状態にすることで、買ってきた状態をキープするという考え方。野菜が放出するエチレンガスをプラチナ触媒が分解して、炭酸ガスを生成します。

また、東芝やシャープは、湿度を非常に高く保ちつつ野菜室の中を低温にする、昔の「雪室保存」のような考え方。これらも野菜を眠らせるという発想です。

戸井田さん「植物は酸素と光で成長しますが、反対にそれをなくし、食品の鮮度維持に適した炭酸ガスを生成したり、暗く冷たく湿度が高い環境を作って野菜が眠った状態にすると、野菜が劣化するのも遅くなるんです」

成長させるのがよいのか、止めるのがよいのか、それぞれ正反対の考え方に思えますが、結局どちらがよいのでしょうか。

戸井田さん「家電関係者の間でも、それぞれに賛否両論がありますが、使う方がご自分の生活のスタイルに合わせて選択するのがよいでしょう。たとえば、1週間に1回しか野菜が買えないなら、保存している間に成長して栄養価が増えるのはうれしいですよね。また、旬の産直野菜などを買うのであれば、眠らせてそのままの状態をキープできるタイプがよいのかもしれません」

また、生活スタイルという視点からは「野菜をストックしない」という考え方もあるようです。

戸井田さん「シャープの冷蔵庫は、野菜室が他社と比べて小さめで、冷凍室が大きく作られています。
フルタイムで働いていて、会社帰りにヨーグルトや牛乳といったデイリー食品と一緒に野菜はこまめに買いに行ける、という人であれば、野菜を多めにストックしておく必要はありませんよね。

つまり、その日食べる野菜は新鮮なものを毎日買い、お弁当用に冷凍食品などを多めにストックしておきたいといった、都市型生活でお子さんがいるようなご家庭にピッタリのスタイルといえるでしょう」

野菜の冷凍保存もここまで進化していた!

野菜室ではなく「冷凍室」で野菜を長期間保存したいという方も多いのでは?野菜を家庭で冷凍保存しようとすると、細胞が壊れたり、スカスカになったりする場合が多く、冷凍する前に細かく刻んだり、下茹でしたり、ペースト状にしたり……といった手間をかけている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

ところが、そんな冷凍の世界にも、新しい話題が登場しているのだとか。

戸井田さん「東芝は『野菜そのまま冷凍』と銘打って、生の野菜をそのまま冷凍できるという提案をしています。今までは下茹でなど一手間かけていたところを、生のままの野菜やカットした野菜をそのまますぐに冷凍保存できるんです。そうして冷凍した野菜をすぐ料理に使えるので、かなり時間短縮になりますよね」

また、野菜そのものではなく、調理したカレーなどの食品を冷凍保存する場面でも技術革新が。今までカレーを冷凍する時にネックになっていた野菜といえばじゃがいもやにんじん。そのまま冷凍してしまうとスカスカに『す』が入った状態になるため、わざわざ取り除いたり、すりつぶすのが一般的でした。

戸井田さん「過冷却の仕組みを使った三菱電機の『瞬冷凍』は、冷凍に向かなかったカレーのじゃがいもでも、細胞を壊さずにそのまま冷凍できるようになっています」

さらに、粗熱を取らなくても熱いままで冷凍可能なのだとか。

戸井田さん「たとえば週末に野菜をまとめて切って冷凍しておき、平日は帰宅してサッとカレーを作る人なら、東芝の『野菜そのまま冷凍』がおすすめです。また、一度にカレーをたくさん作って冷凍し、食べたいときに解凍してすぐ食べられるようにしたいという方なら、調理したものを上手に冷凍保存できる三菱電機の『瞬冷凍』が向いているでしょう」

いかがでしたか?冷蔵庫は決して頻繁に買い替えるような家電ではありませんが、次に買うときには、自身のライフスタイルに合わせて、納得できる機能のものを探してみるとよいかもしれませんね。

※本ページの記載内容は記事公開時点の情報に基づいて構成されています。

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