ひとくちにごはんといっても、白米、玄米、麦ごはん、雑穀米など、米の種類によって栄養素は違ってきます。味、種類によって異なる栄養の特長やそれぞれどのような食事に合わせるとおいしくいただけるのか、そんな疑問に管理栄養士の岡田明子さんがお答えします。
白米、玄米、麦ごはん、雑穀米。それぞれの栄養素について
白米
「白米」は、うるち米とも呼ばれ、稲の実から、もみ殻、米ぬか、胚芽を取り除き、胚乳部分のみを残したものです。糖質、たんぱく質、カルシウム、鉄分、ビタミン、食物繊維などさまざまな栄養素を含みます。
玄米
「玄米」は、稲の実からもみ殻のみを外したものです。米ぬかや胚芽は残った状態なので、白米よりも栄養が多く、食物繊維やカルシウムやマグネシウムのミネラル、たんぱく質、ビタミン類も白米より多く含まれています。
日本人の食事摂取基準2015年版では、食物繊維の目標量は18~69歳で1日あたり男性20g以上、女性18g以上です。食物繊維は不足しがちな栄養素で、平成27年国民栄養調査結果でも、10代から60代までが目標量に達しておらず、約1~6g程度不足していることがわかっています。
1日3食お茶碗一杯(150g)のごはんを食べるとき、玄米ごはんを選ぶと、1日で白米のごはんより約5g多く摂ることができますので、食物繊維の目標量に近づくことができます(※)。
発芽玄米
玄米は、独特の硬さやぼそぼそとした食感があります。玄米の中でも、わずかに玄米を発芽させた「発芽玄米」は、この独特の食感が少なく、食べやすいと注目されています。
麦ごはん
「麦ごはん」は、白米に麦を混ぜて炊いたごはんです。麦は、たんぱく質、ミネラル、ビタミン類、食物繊維などを含みます。特に食物繊維は、白米100gと比較すると約19倍含まれています。例えば、米1合に麦50gを一緒に混ぜて炊飯すると、お茶碗一杯(150g)の麦ごはんで、約1.6gの食物繊維が摂れます。1日3食麦ごはんを食べると、白米のごはんと比べて約4g多く食物繊維が摂れる計算になります。麦を混ぜて食べることで食物繊維を手軽に補うことができます。
雑穀米
「雑穀米」は、玄米、あわ、キビ、もち麦などを白米に混ぜ込んだもので、食物繊維やミネラル、ビタミン類も含まれています。さまざまな種類がありますが、白米にサッとプラスできる個装タイプのものは手軽でおすすめです。
米は玄米を選ぶと、精製された小麦粉で作られるフランスパン、食パン、うどんなどに比べて消化に時間がかかり、血糖値をゆっくり上昇させますので、ダイエットにもつながります。
ごはんを主食に選択すると、焼き魚、納豆、味噌汁、お浸しなどの発酵食品、海藻、大豆製品などのメニューを合わせやすく、そうすることで日本人が不足しがちな食物繊維を摂ることができたり、普段摂りすぎている脂質を抑えやすくなり、結果的にバランスのよい食事につながります。
今回は、なかでも栄養価の高い「玄米」と「雑穀米」に注目し、おすすめの食べ方を解説します。
※150gに含まれる食物繊維を白米ごはん0.3g、玄米2g、麦ごはん1.6gとして計算。また、炊飯後の量の増え方の目安として、白米の炊きあがり約2.2倍、麦の炊きあがり約2.8倍として計算しています。
「玄米」のおすすめの食べ方
玄米は、精米したものに比べ、たんぱく質、脂質、ミネラル、食物繊維が多いのですが、独特の硬さや食感からなかなか続けられないこともあります。そこで、おいしく食べられる玄米の炊き方をお伝えしましょう。
<玄米のおいしい炊き方>
お米を洗うようにさっと流水で洗います。白く濁るわけではありませんが、汚れを落とすために、2~3回洗います。
水を切ったら、玄米:水=1:1.5の水をそそぎます。炊飯器の場合は、白米の場合の水を入れて、玄米1合に対して1/3カップ水を追加するとよいでしょう。
玄米をまず炊く半日から1日前に水につけるようにしましょう。じっくり浸水させることがポイントです。玄米炊き機能があれば、長時間浸水させなくてもよいでしょう。
できあがったら、10分蒸らし、やさしく全体をほぐして混ぜておきましょう。
パサパサした食感が特徴の玄米は、カレーと相性がよいといわれています。また、チャーハンにするとごはんのようなねばりが出ずに、パラパラとした状態に仕上げることができます。そのほか、炊き込みごはんやおにぎりにして食べるのもおすすめです。醤油、みりんをおにぎりの表面に塗り、ごま油をひいたフライパンで焼き、焼きおにぎりにすると、香ばしい香りやかりっとした食感で、おいしく食べることができます。
「雑穀米」のおすすめの食べ方
雑穀米は炊飯器で米を炊くときに混ぜるだけなので、洗う手間がなくとっても簡単。製品説明をチェックし、適切な量の雑穀を加え混ぜて炊きます。種類によって栄養や炊き上がりが異なりますから、食べやすいものを自分に合わせて選ぶと飽きずに続けやすくなります。
また、雑穀をゆでておくと、おかずのかさ増しとしても使えます。ゆで時間は、雑穀の種類によって異なりますが、沸騰したお湯に雑穀を加え、5分から10分を目安にゆでましょう。ゆでた雑穀は、冷蔵庫で2~3日、冷凍庫で2~3週間保存できます。小分けにして冷凍すると料理に使用するときも便利です。
コロッケ、肉団子、ハンバーグなどの具材に混ぜると、食感が変わり、エネルギーも抑えられます。また、噛み応えがあるので満足感につながり、食べ過ぎ防止にもなります。レタスやほうれん草などの葉物野菜や、トマトなどのサラダにゆでた雑穀をあえると、彩りもよく、おもてなし料理としてもおすすめです。
ごはんもいろいろな種類がありますので、おいしく食べられるものを選び、白米だけでなく、玄米や雑穀米などを取り入れて栄養を摂るようにすると、健康な身体づくりに役立ちますよ。
【引用】
日本食品成分表2017七訂本表編|医歯薬出版株式会社
やまぐちお米つうしん|JA全農やまぐち
執筆者プロフィール
岡田 明子(おかだ あきこ)
All About「食事ダイエット」ガイド。延べ1万人以上のダイエットサポート実績のある管理栄養士。自身の13kgのダイエット成功経験と管理栄養士の経歴をいかし「食べてキレイにやせる」ダイエットメソッドを確立。飲食店などのレシピ開発やセミナー講師、執筆活動を精力的に務める他、延べ5000名以上の方にダイエットサポート実績があり、ダイエットに悩む方への個々の生活習慣に合わせた的確な指導に定評がある。
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