食事をすると血糖値が上がります。この上昇幅が大きいと、糖尿病や肥満のリスクになるため、できるだけ低く抑えたいところ。そこで登場したのが、GI(グリセミックインデックス)、GL(グリセミックロード)の考え方です。
GI(グリセミックインデックス)って何?
グリセミックインデックス(Glycemic Index)は食後血糖値の上昇を示す指標です。食事から2時間後までの血糖値の上昇を標準食(ブドウ糖、白米飯、食パン)を100%としてグラフ化し、その面積比で示されます。
GIを調べるためには、調べたい食品と標準食を食べたときの食後2時間までの血糖値の2種類を人間の身体で測定する必要があります。つまり食後2時間までの血糖値を2回測るんですね。さらにこの2回は同一人物で測定する必要があります。この実験をたくさんの人で行った平均値が、一般にGIとして知られている値になります。
食品ごとに上昇率が異なりますので、この研究をした人も血糖値を測るために協力をした人もたいへんなご苦労をなさったことと思います。しかし、これほどまでに苦労して測定したGIにも1つ弱点がありました。
それは、GI値は食品中に含まれる糖質の量について考慮していないということです。
例えば、すいか。すいかは「中GI食品」と言われており、「食べてはいけないわけではないけれど、食べるなら気をつけて」という扱いです。しかし、すいかの炭水化物は100gあたり9.5g。とても少ないのです。
そのため、いくらGIが高くても、糖質が少なければ血糖値への影響は小さいのではないか? と考える人が出てきました。
GL(グリセミックロード)とは?
そこで生み出された考え方がグリセミックロード(Glycemic Load)です。
GLは食品に含まれる糖質の重量にGIをかけて100で割ったもの(GL=各食品が含有する炭水化物の量[g] × GI ÷ 100)。これなら、糖質の量も考慮されているので、よいのではないかと考えたのです。
食べ方でも血糖値の急上昇を抑えられる?
GIとGLは分かりましたが、糖質制限との関係はどうなっているの? と思う人もいらっしゃることでしょう。
GIは血糖値を上げるかどうかに着目した考え方、GLは血糖値と糖質量に着目した考え方。糖質制限については食事中の糖質を減らそうという考え方です。どの部分の「糖質」に着目しているかがまったく異なります。混乱しないよう、注意してください。
また、最近では「糖質をゆっくり吸収する」という考え方も広がっています。具体的には、以下のような方法が知られています。
(1)食べる順にこだわる
空腹の状態に糖質が入ってくると血糖値が急上昇しやすいため、最初にサラダなど食物繊維の多い野菜類、次に肉・魚などのたんぱく質、最後にご飯・パン・麺などを食べる、といった「食べる順」で糖質の吸収をゆっくりにする方法を実践している人も多いのではないでしょうか。
(2)ゆっくり、よく噛んで食べる
食べ始めてから脳の満腹中枢が働くまでに、約20分かかると言われています。ゆっくりよく噛んで食べれば、満腹中枢が働く前に食べ過ぎることなく、消化もゆっくりに。糖質の吸収を落ち着かせることができます。
(3)糖質の量や質にこだわる
GIやGLの話にもあった通り、食品によって血糖値が上がりやすいものとそうでないものがあります。一般的に低GI・低GLとされている食品に置き換えるなど、血糖値が上がりにくいものを選んでみてはいかがでしょうか。
(4)規則正しい食生活
血糖値の上がりやすさには、遺伝のほかに生活習慣の影響もあることが知られています。食事の時間をできるだけ毎日同じ時間にするなど、生活リズムを整えるよう心がけてください。
この他、食物繊維の多い献立を選ぶといった方法も有効です。
GI、GL、糖質制限、食べる順など、糖質に着目したダイエットはいろいろありますが、自分に合った方法を選べるとよいですね。
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執筆者プロフィール
平井 千里(ひらい ちさと)
管理栄養士。女子栄養大学大学院(博士課程)修了。名古屋女子大学 助手、一宮女子短期大学 専任講師を経て大学院へ進学。「メタボリックシンドロームと遺伝子多型」について研究。博士課程終了後、介護療養型病院を経て、現職では病院栄養士業務全般と糖尿病患者の栄養相談を行う傍ら、メタボリックシンドロームの対処方法を発信。
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