健康や美容に効果があると言われ人気の「ビタミンC」。コンビニのドリンクコーナーでもコーヒーの隣にビタミンC入りドリンクが並んでいるほどです。これほど身近なビタミンCを効果的に摂るためにはどうしたらよいのでしょうか?
ビタミンCは体内で合成できず、蓄積もできない?
ビタミンCは体内でコラーゲンを合成する際に必要な栄養素です。
しかし人間は、そんな大事なビタミンCを体内で合成することができないため、食品や飲み物から摂取しなければなりません。また、水溶性のビタミンCは基本的には体内に蓄積できず、摂りすぎた分は尿中に排泄されるため、毎日こまめに摂取する必要があります。
そのため、美容目的でサプリメント・ドリンクなどを愛飲している方も多いのではないでしょうか。私の恩師でビタミンCの研究をしていた先生は、お茶の時間にビタミンCパウダーをティースプーン1杯入れて毎日飲んでいました。年齢を感じさせない美しい方でした。
では、1日にどのくらいのビタミンCを摂ればよいのでしょうか。日本人の1日に必要なエネルギーや栄養素量を示した「日本人の食事摂取基準(2015年版)」(厚生労働省)で調べてみると、15歳以上の男女では1日100mg、妊婦110mg、授乳中の女性は145mgが推奨量とされています。
普段の生活でどのくらい摂取できている?
実際に普段の生活ではどのくらいビタミンCを摂取できているのでしょうか。
厚生労働省による「平成28年『国民健康・栄養調査』の結果」によれば、成人(20歳以上)の1日の平均摂取量は94mgとのこと。
それなりに摂れている……と言いたいところですが、ちょっと残念なお知らせが。世代別に見ると60~69歳が111mg、70歳以上が120mgと高齢者ががんばっている一方、20~29歳、30~39歳の平均はともに66mgと不足しがち。
しかし、高齢者も油断はできません。高齢者が血中濃度を飽和状態に保つためには、若い世代よりも多くのビタミンCが必要だとされています。また、喫煙者やストレスが多い人の場合も、より多くのビタミンC摂取が必要と言われています。やはり、年代に関係なく、もう少しビタミンCを積極的に摂りたいところです。
血中濃度は1日400mgで飽和すると言われていますが、血液濃度を常に飽和状態に保つには、ここまでお伝えした通り「1日100mg」程度を目安にした摂取でOKと言われています。ビタミンに関しては「常に身体に飽和している」状態が良いので、つまり食事摂取基準で示された「1日100mg」は、ぜひ毎日摂り続けましょう。
なお、健康な人であれば、過剰に摂取したとしても余剰分は尿中に排泄されるだけなので、今のところ大きな健康障害の報告はありません(※腎臓に負担がかかっている方は医師と相談して利用して下さい)。
美容にも健康にもよいビタミンC。ぜひ積極的に摂りたいものですね。
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執筆者プロフィール
平井 千里(ひらい ちさと)
管理栄養士。女子栄養大学大学院(博士課程)修了。名古屋女子大学 助手、一宮女子短期大学 専任講師を経て大学院へ進学。「メタボリックシンドロームと遺伝子多型」について研究。博士課程終了後、介護療養型病院を経て、現職では病院栄養士業務全般と糖尿病患者の栄養相談を行う傍ら、メタボリックシンドロームの対処方法を発信。
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