「ライフスタイルの質」を向上させるには、「睡眠の質」を向上させることが一つの鍵です。夜ぐっすり眠り、朝すっきり起きる。そんな理想の睡眠は、日々のちょっとした工夫で手に入るかもしれません。 今回は、行動療法士の菅原先生に「スポーツ」のパフォーマンスを上げるための「睡眠の質」を向上させるテクニックを教えてもらいました!
試合前夜に眠りが浅い
耳から上の頭を冷やして眠る
深く眠るには、内臓の温度である深部体温が眠り始めに急激に下がる必要があります。脳も内臓なので、脳の温度が高いまま就寝すると、深い睡眠が得られにくくなります。そこで、眠るときに、保冷剤や冷凍したタオルを使って、耳から上の頭を冷やしてみましょう。首のあたりが冷えると目が覚めてしまうので、枕の上の方に冷たいものを敷いて眠ります。普段から実行すると、脳の温度が下がるリズムがつくられるので、大事な試合に気分が高揚しても、自然に眠れるようになります。
運動した翌日だるさが抜けない
起床時の脈拍を数値化してみる
睡眠中には、自律神経の交感神経活動が低下するため、血圧や心拍数、呼吸数が低下します。これらが低下せずに眠っていると、朝起きたときから体の重さやだるさを感じます。睡眠による回復効果が低いので、睡眠時間を伸ばしても、だるさは解消しません。そこで、目覚めたら、仰向けになって手首に反対の手の指を当てて、脈拍を計ってみましょう。脈拍が速い日は、睡眠の質があまり良くなかったということです。継続して計ると、効率よい回復のためにすべきこと、やめるべきことを判断する指標になります。
運動でたっぷり疲れたのに眠りが浅い
トレーニングが遅くなった日は就寝も遅らせる
深く眠るには、眠り始めに深部体温が急激に下がる必要があります。運動の時間が遅くなると、深部体温が下がるのも遅くなります。一般的なトレーニングをした場合、深部体温が下がるまで3時間程度かかります。22時に運動を終えて、0時に就寝をすると、まだ深部体温は高いので、眠りが浅くなります。そこで、1週間のうち、早い時間に運動をする日を数日つくり、遅い時間に運動した日は、就寝も30分程度遅らせてみましょう。就寝を遅らせた日の翌朝は、いつも通りの時間に起床すると、その晩はよりぐっすり眠れます。
まとめ
睡眠中には、全体の70%の成長ホルモンが分泌されるなど、パフォーマンスを高めるために必要な作業が行われています。眠ることもトレーニングメニューの1つに加えると、昼間のトレーニングがより効果的になります。
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■プロフィール
監修:菅原 洋平
作業療法士。ユークロニア株式会社代表。アクティブスリープ指導士養成講座主宰。
国立病院機構にて高次脳機能障害や神経難病のリハビリテーションに従事。現在は、ベスリクリニック(東京都千代田区)で薬に頼らない睡眠外来を担当する傍ら、大企業の健康経営や働き方改革を推進し、生産性を向上させ医療費を抑制する事業を全国で行い、その活動は、テレビや雑誌などでも注目を集める。主な著書に、13万部を超えるベストセラー『あなたの人生を変える睡眠の法則』、12万部突破の『すぐやる!「行動力」を高める“科学的な”方法』など多数。