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「がんにならない」ために心がける生活週間や食生活とは!?
食べてはいけないもの、がんと感染症の関係性について。

国立がん研究センター2014年データによれば、日本人が生涯でがんになる確率は、男性で62%、女性で47%となっています(日本のがん統計は、罹患データは4~5年、死亡データは1~2年遅れて公表されます)。「病の皇帝」とも呼ばれるがんという病気と、その向き合い方について、大阪大学大学院生命機能研究科の教授であり、近著の『こわいもの知らずの病理学講義』で、がんについて分子生物学の基礎からわかりやすく解説をしている仲野徹先生にお話を聞きました。

最もがんになりやすい生活習慣とは?

がんは基本的には遺伝子の変異によって生じる病気です。最近、発がんに関係する変異の多くは加齢によって生じるものであるということがわかってきました。細胞が分裂する前に、遺伝情報は複製されなければなりません。その時、低い割合ですが、遺伝子に変異が生じてしまいます。どの遺伝子に変異が生じるかはまったくの偶然ですが、年齢を重ねれば重ねるほど細胞分裂の回数は累積していくので、変異が起こる可能性もそれに伴い増えていくのです。細胞分裂を続けながら生きているヒトにとって、がんは避けることはできない宿命のようなものといえるかもしれません。では、変異ができるだけ起こらないようにする方法はないのでしょうか。

人生に運があるのと同じように、どんな病気にかかってしまうかも運に大きく左右されます。偶然の変異が原因であるがんも例外ではありません。しかし、運だから何も対処しなくてもいいわけではなく、避けることのできる病気については、正しい知識を持って判断することが重要です。

がんにならないために一番にすべきことは、がんになりやすい生活習慣をあらためることです。がんになりやすくなる生活習慣で最大のものは喫煙です。タバコには何種類もの発がん性物質が含まれていて、欧米では肺がんの90%はタバコが原因とされています。日本人では少し率が低いとされていますが、それでもかなりの影響です。タバコは肺がんだけではなく、口腔、食道、膵臓、膀胱のがんの発生率を上げることがわかっています

さらにはアルコールを摂取しながらタバコを吸うと、口腔や食道のがんが増えることもわかっています。がんのみならず、動脈硬化や心筋梗塞、呼吸器疾患のリスクも高まるので喫煙の習慣はあらためた方がいいと仲野先生はいいます。「60歳になってから禁煙しても、肺がんリスクはある程度下がることが知られていますから、やめるのに遅すぎるということはありません」。

がんと感染症の関係性

また、がんの原因となりうる感染症もわかっています。ピロリ菌による胃がん、B型・C型肝炎ウイルスによる肝臓がん、そして、ヒトパピローマウイルスによる子宮頸がんがそれです。幸いなことに、胃がんについてはピロリ菌の除菌が、子宮頸がんについてはワクチンが有効ですし、C型肝炎には特効薬が開発されています。感染症とがんとの関係について、仲野先生に教えてもらいました。

「まずは胃がんについてです。ピロリ菌が直接に胃がんをつくるのではなく、慢性の炎症を起こして胃の発がんを促進します。慢性炎症がおきると胃の粘膜の細胞分裂の回数が増え、それにより突然変異が起こる確率も高まり、発がんにつながるのです。ピロリ菌の有無の検査と除去については主治医とよく相談をしてください。

B型肝炎ウイルスとC型肝炎ウイルスは、名前は似ていますがまったく異なるタイプのウイルスです。発がんのメカニズムはどちらもピロリ菌とも同じように、慢性炎症を引き起こすことで肝臓の細胞の分裂回数を増やし、それにより変異の発生率を高めてしまうのです。C型肝炎には特効薬が開発されていますが、B型肝炎にはありません。日本人の肝臓がんの9割はウイルス性だとされています

また、ヒトパピローマウイルスにはいろいろな種類があり、その中で凶悪なものが子宮頸がんを引き起こします。子宮頸がんワクチンは、その名前からがんに対するワクチンと思われていますが、ヒトパピローマウイルスの感染を防ぐワクチンです。このワクチンの子宮頸がん予防効果は確実ですが、副作用の問題があるともされています。任意接種のため、効果と副作用を考慮し、接種するかどうかは個人が決めるしかありません。」

食事を含む環境要因が発がんに与える影響

わたしたちが気になるのは、なんといっても食事との関係です。「日本人に比較的少なかった大腸がんや乳がんが増えてきたのは、食事の欧米化、つまりは食物繊維が多かった日本人の食事が肉食になった影響が大きいのではないかとされています」と仲野先生は話します。

「食べ物ががんの発症に関係があることはおそらく間違いはないでしょう。けれど、あくまでも推計であって、何を食べたらダメで何を食べたら良いというようなことはわかっていません。魚の皮のコゲはがんになると言われていた時期がありました。確かに体に良くはないでしょうけれど、がんになるほどの大量のコゲを普通の人が食べることはまずないのです。加工肉がよくないと言われることもありますが、一切食べずに生活していくのは難しいし、どれだけ避ければ大腸がんになりにくいのかの目安もありません。日本では発がん性物質はかなり厳しく規制されていますから、普通に食卓に出てくるものを食べてがんになることはありません。極端に偏った食事にならないように、例えば肉ばかりではなく一緒に食物繊維を十分摂るように心がけましょう、ということくらいしか言いようはないのです。」

一方で、発がん性が高いものもわかってきており、最も高いといわれている天然物は、亜熱帯から熱帯にかけて生息するカビがつくり出すアフラトキシンです。このカビはピスタチオやピーナツに生えます。輸入の際には検査がされているので大丈夫なはずですが、万一カビの生えたピスタチオがあれば、食べずにおきましょう。

また、塩分の摂り過ぎは胃粘膜に、熱い食べ物は食道粘膜に損傷を与え、それぞれ胃がんと食道がんのリスクになると考えられています。粘膜が損傷をうけると粘膜の細胞が分裂して再生が生じ、細胞の分裂回数が増えると、どうしても変異がはいる確率が高まってしまいます。そして、それが蓄積して発がんのリスクにつながるのです。「何度も同じことをいいますが、発がんの基本は細胞分裂なのです」と仲野先生は強調します。

「がんにならないとか、がんが治るということを耳にすることはありますが、確実に予防できたり、ましてやがんを治癒できたりする食べ物については、残念ながら科学的根拠はまずありません。もちろん、ちゃんとした治療を行いながらそれらの食事を併用することには問題はありません。けれど、それだけに頼り切るのは完全に間違っています」

国立がん研究センターのホームページに、科学的根拠に基づいた「日本人のためのがん予防法」が公開されています。その項目は以下の通りです。

科学的根拠に基づいた「日本人のためのがん予防法」
https://epi.ncc.go.jp/can_prev/evaluation/8146.html

  • 喫煙 → たばこは吸わない。他人のたばこの煙を避ける。
  • 飲酒 → 飲むなら節度のある飲酒をする。
  • 食事 → 食事は偏らずバランスよくとる。
  • 身体活動 → 日常生活を活動的に過ごす。
  • 体形 → 成人期での体重を適正な範囲に維持する(太りすぎない、やせすぎない)
  • 感染 → 肝炎ウイルス感染の有無を知り、感染している場合は適切な措置をとる。機会があればピロリ菌感染検査を。

いかがでしょうか。医学や科学が発達した現在でも、がんの予防のために最先端の研究者がエビデンスを持って言えるのは、このようなシンプルなことなのです。

「がんは多様です。もちろん臓器によってちがいますし、同じ臓器であってもどの遺伝子に変異が起こるかで性質が異なるので、治療法も異なります。どのような変異が生じるかは運なので、生活習慣で少しでもリスクを減らしておくしかありません。食について言えば本当にありきたりになりますが、『偏らずバランスよく食べましょう』です」

また、「大腸がんはポリープから進行することが多いので、その段階で発見すると内視鏡で切除が可能です。食の変化により日本人の大腸がんは増えてきていて、男性では11人に1人、女性では14人に1人が発症するとされています。この率を高いと思うかどうかは個人によって違うでしょうけれど、行きづらいとか恥ずかしいとか言っていないで、大腸の内視鏡検査は40歳を過ぎたら2年に1度は受けておくをおすすめします。昔より体への負担は少なく、眠っている間に済みます。もっと早く発見できていればとの後悔は悔やみきれないと思うので、わたしは定期的に受けていますよ。一昨年は最大5ミリ、4つもポリープが見つかって、ほんとに検査をうけて良かったと思いました」

多様な性質を持ち、体のどこで発現するのかわからないがんが相手だからこそ、リスクを回避するための備えは、基本をとりこぼさず日々の積み重ねでといったところでしょうか。喫煙、飲酒、食事、身体活動、体形、感染について、ご自身や家族の生活習慣を、この機会にぜひチェックしてみましょう。

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